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INTERVIEW業員教育を行っています。 若手の従業員が増えたことで、工場内の雰囲気が一番変わったと感じます。工場内の新陳代謝が進んだこともあるかもしれませんが、若手の従業員を指導する立場になった中堅の従業員が、本当に、努力して変わってくれたと思います。いままで、「モノ」と向き合い、自分の仕事をこなし、仕事の品質と効率を高めることで評価されていた立場から、従来どおりの仕事に加え、苦手意識を持つコミュニケーションをとりながら、若手の従業員を育成する役割が増えたことで、苦労することも多かったと思います。例えば、いままで挨拶をしなかったり、声の小さな中堅の従業員が、若手の従業員の育成を担当するようになり、自発的に、明るく元気良く挨拶をしてくれるようになりました。工場の第一印象が良くなり、取引先からは、「清々しい気持ちになり、来るのが楽しみになる会社だね」とお褒めの言葉をいただくようになりました。 中堅の従業員が、若手の従業員を指導する際には、「失敗」をしながら、無駄な「失敗」をすることなく、仕事を繰り返し覚える姿勢を継承していますが、時々、若手の従業員が、「失敗」してはいけない仕事を「失敗」し、納期が近い仕事が中断され、たまたま中堅の従業員が怒鳴ってしまったような場合があります。そんな時は、私が中堅の従業員と若手の従業員の間に入ることにより、怒鳴ってしまった中堅の従業員には、その怒鳴ってしまったことに対して反省をしてもらい、若手の従業員には、なぜ、怒鳴られてしまったのか理解してもらうことで、次の「失敗」を減らす勉強の「場」としています。私が間を取り持つことで、工場内の雰囲気も悪くなることもなく、組織としての一体感が醸成されることもあります。どうしても注意し、しっかりと相手に伝えなければならないことも、最近は、コミュニケーションがスムーズにとれるようになったこともあり、中堅の従業員が若手の従業員に、ちゃんと伝えることができるようになったと感じています。10年先を見据えた「町工場」の「経営」沼口:コロナ禍においては、取引先や協力工場、従業員の皆さんとは、どのようにして、コミュニケーションの円滑化を図っていますか。小林常務:やはり、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、取引先の皆さんとは会う機会が社長を中心に社屋での家族写真木造建物は醤油工場を移築した鋳物場熱を逃すのに適している屋根の高さ17中小企業支援研究 Vol.8

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