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中小企業における外国人雇用の実態と課題―静岡県外国人労働者実態調査の分析から―小坂 拓也千葉商科大学経済研究所客員研究員中小企業診断士1 はじめに近年、我が国の中小企業において、労働力不足等の理由から外国人材を活用する動きが強まっている。国はこれを後押しするように、2018年に外国人材受入・共生のための総合的対応策を策定し、外国人労働者受入のための体制を整えるとともに、新たな在留資格である「特定技能1」を設け、2019年4月に改正出入国管理法を施行した。このような状況を受けて、厚生労働省が2020年1月に公表した「外国人雇用状況」の届出状況(2019年10月末現在)では、外国人労働者数は1,658,804人となり、前年同期比で198,341人(13.6%)増加し、過去最高を更新した(図1)。2020年は新型コロナウイルスの流行により、海外からの人材獲得が一時的に難しくなっているものの、今後の中長期的な見通しとしては、我が国の人口減少等に起因する労働力不足は避けられないために、我が国の企業が外国人材の活用を検討していくことは避けられない状況にある。外国人労働者を雇用している事業所数を都道府県別に見ると、多い順に東京都、愛知県、大阪府となり、他の事業所数上位の都道府県についても関東、東海、関西地域に多く分布していることがわかる(図2)。外国人労働者は既に地域の中小企業において多数雇用され、地域経済を支える存在となっている。図1 在留資格別外国人労働者数の推移出所:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況(2019年10月末現在)1  在留資格「特定技能」では、労働力不足が特に深刻な14分野において、一定の能力を持つ外国人の日本での労働を可能としている。調査報告27中小企業支援研究 Vol.8

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