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調査報告本稿では、外国人労働者を雇用する事業所の多い東海地域に位置し、外国人雇用事業所数が全国8位である静岡県が2019年8月に実施した静岡県外国人労働者実態調査(以下、「本調査」)の結果の分析を通じて、地域の中小企業における外国人労働者の雇用の実態と課題について考察したい。2 静岡県外国人労働者実態調査の概要「本調査」の概要は、表1のとおりである。静岡県内事業所3,000社に対する郵送調査であり、回答は全体の56.5%である1,695事業所から得られた。調査対象である静岡県内事業所3,000社は「本調査」の集計委託先である(一財)静岡経済研究所が有する静岡県内事業所のリストより無作為抽出されている。「本調査」の調査対象事業所は、残念ながら中小企業2に限定されたものではないが、従業員数300人未満の事業所の回答が全体の93.2%を占めていることから、中小企業における外国人労働者の実態や課題の傾向を把握し、考察することができる有用な調査となっていると考えられる。なお、「本調査」は2019年8月実施であるため、調査結果は新型コロナウイルスの流行に伴う影響を受けていない点は留意する必要があろう。表1 調査の概要調査名静岡県外国人労働者実態調査実施機関静岡県(集計委託先:(一財)静岡経済研究所)調査対象静岡県内事業所3,000社((一財)静岡経済研究所の持つ静岡県内事業所リストより無作為抽出)調査方法郵送にて送付、回収調査時期2019年(令和元年)8月有効回答数1,695事業所(有効回答率56.5%)3 「本調査」から見る外国人労働者の就業状況①外国人労働者の就業の有無「本調査」では、最初に、事業所に対して外国人労働者の就業の有無を問うている。これに対し、外国人労働者が「働いている」と答えた事業所は27.8%、「働いていない」と答えた事業所は71.8%であった(図3)。外国人労働者の就業の有無を従業員規模別に見ると、「働いている」との回答が最も多いのは、大企業に相当する「300人以上」の事業所で61.2%となっている。続いて「100~299人」は47.8%、「50~99人」は31.4%となっている(図4)。小規模企業者3に相当する「1~19人」でも8.5%の事業所で外国人労働者が雇用されており、外国人労働者は企業の規模が小さくても、雇用されうることがわかる。2 中小企業基本法第2条に定義する中小企業をいう。3 中小企業基本法第2条第3項に定義する小規模企業者をいう。図2 都道府県別外国人雇用事業所数出所:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況(2019年10月末現在)28中小企業支援研究

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