RSS-2021
36/60

調査報告『街づくり』事業支援モデルに関する調査研究報告堀内 仁エリアマネジメント研究会 代表     中小企業診断士はじめに私たちエリアマンジメント研究会は、人々のQOL(quality of life)を高める暮らしの実現に向け、より良い街づくりにつながる“街なかの産業活性化”に寄与したいと願っているグループで、筆者は日々商店街支援に従事する診断士である。地域が持つ資源を育て、住む人・訪れる人の心を豊かにする「人中心の街づくり」へ導く診断支援のモデル化を目的とし、調査研究を試みた。1.調査概要本事業の目的は、人々に生き活きと過ごしていただく街づくりに向けたコミュニテイビジネスの創出であり、その支援モデルの策定を試みた。「空き店舗解消」「公共広場の有効活用」「地方への移住促進」「次世代起業家の育成」 4つの課題を抱えるエリアを調査研究対象にした。成果を上げている先行事例をベンチマークし、課題解決に向けた重要成功要因を分析した。2.街づくり施策の動向 2000年を経過した頃、小泉政権の三位一体改革のなかで、地方への税源移譲がなされた。その一環として、当時は、所得税から住民税への税源移譲とともに、国家機関は「小さな政府」として、地方に様々な自治機能を担わせる構想があった。しかしながら、地域行政にとって、その役割を果たすには負荷が大きく、機能を十分に果たせたとはいえない状況となっている。平成10年7月に中心市街地活性化法が制定され、街づくりの担い手は、中小小売商業高度化事業構想(TMO)によって担われた。地域ごとに構成される、TMO機関(タウン・マネジメン・オーガニゼーション、タウンマネジメント機関)が当時の街づくりの主導役として期待されたが、TMO構想は必ずしも機能する形にはならなかった。これまでの市町村がイニシアティブをとる中心市街地活性化法は、平成19年に改正され、中心市街地の役割について、従来の「市街地の整備改善」と「商業等の活性化」に加えて、「街なか居住」や「都市福利施設の整備」等の支援措置を追加し、中心市街地図表1 まちなかリノベーションスキーム図表2 調査対象エリア34中小企業支援研究

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る