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5中小企業支援研究 Vol.8うな観点から利用する資源とそうではない資源の分類としてオペランド資源およびオペランド資源という用語が用いられる。 この2つはLuschが1994年にConstantinとともに執筆した書籍からS-Dロジックに取り込まれたものである(Constantin and Lusch 1994)。図表2に示したようにオペランド資源とは効果を創造するために他の資源によって行為を施される資源であり、一方、オペラント資源とは効果を創造するために他の資源に行為を施すことが出来る資源となる(Lusch and Vargo 2014、邦訳147頁)。 S-Dロジックにおいてはもう一種類の資源の類型が表示されている(図表3参照)。それが公的資源、私的資源および市場で取引される資源(以下、市場資源)である。これは市場での取引だけでなく、それまでに所有している資源および共有されている資源も資源統合の範囲に含めていることを示している(Lusch et al. 2007; Vargo and Lusch 2008)。ここでVargoらは公的資源を社会全体、あるいは特別に指定されたメンバーに政府や準政府機関が供給する有形もしくは無形の資源であり、消防や警察の保護のほか、教育、ヘルスケア、公園やレクリエーション地域などとする一方、私的資源は社会交換ネットワークによって交換され社会への援助や個人の助言といったものが含まれるとしている(Lusch and Vargo 2014)。 ここではさらに、資源の類型を拡張し(McColl-Kennedy et al. 2012)、公的資源をコミュニティもしく政府から調達出来る資源、市場資源を企業等から調達する資源、私的資源を家族や友人もしくは本人が調達する資源とする。このような資源の類型は資源の利用すなわち文脈価値において重要となるとともにビジネスの説明においても有効となる。つまり、複数の資源資源の類型特徴例オペランド資源・効果を創造するために他の資源によって行為を施される資源鉄鉱石、石油、金、自動車、コンピュータオペラント資源・効果を創造するために他の資源に行為を施すことが出来る資源・優位を生み出すものナレッジやスキル、技術(筆者作成)図表 2 資源の類型(オペランド資源とオペラント資源)図表 3 資源統合の概念図出所:Lusch and Vargo(2014)、邦訳155頁。

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