中小企業支援研究vol1
19/28

17中小企業支援研究 別冊 Vol.1板も毎月2回は作り換えています。商品の入荷案内、新柄入荷案内、売り出し、値下げ、売りつくし、処分見切りなどをテーマにしています。安売りが目的ではありませんが、商品の切り替え時には見切り処分もします。前田 店内でのコミュニケーション、接客で重視していることは何でしょうか?尾方 商品の良し悪しをはっきり伝えます。たとえば洗濯による生地の伸び縮み、染による色落ち、汚れ、外国製品のクリーニングのトラブル、サイズの違い、アレルギーの問題などですが、お客さんから「とても良い買い物ができた」という満足が得られるように注意しています。当たり前のことですが、何より商品について嘘を言わないことが大切です。簡単なようですが、一人ひとりのお客さんに丁寧に対応することは並大抵のことではありません。たとえば、展示会先見込み仕入れのために、6~10か月後に入荷予定であること、販売時期の目安なども重要です。陳列も注意が必要です。利益をとるには売れ筋が大事ですが、見せ筋というものがあります。仲間同士でも勉強し合っています。前田 まさに、細かな配慮ですね。商工会会長を長く務められてきましたが、一番大変だったのはいつ頃でしたか。尾方 昭和60年代の最初ですか商調協1で苦労しました。初めての経験ですし、互いの利害が働きますから。前田 その昭和48年(1973)に制定され49年から施行された大店法も平成12年(2000年)に廃止されました。今後のことも伺います。ネット通販などが増えてきましたが、どのように考えられていますか。尾方 当店ではネット通販はしません。自分でやると目に見えないお客さん相手ですから、配送、苦情や返品など手間やリスクが多い。顔が見えませんし、コミュニケーションもとれません。当店は、周辺にない商品を揃えていますから、多くのベビー雑誌などにも紹介され、その雑誌を読んだり、メーカーのホームページなどを見た人が、メーカーから紹介されて当店を見に来る人はいます。前田 当店は、当店のお客様の希望する商品を接客やコミュニケーションを通じて情報収集し、その情報をもとに希望通りのものを納得する価格で仕入れ、販売方法を工夫し、販売場所の工夫をしていることが分かりました。まさに安売りはしないし、大手とは真っ向からケンカしない、そのためには、商工会の仕事をはじめ、地域密着、顧客に寄り添って対応され、半世紀以上にも及ぶ長い間、激しい量販店の競争の中で経営を維持されてきたことが分かります。地域で頑張っている中小小売業の皆様に大いに励みになると思います。最後になりましたが、それを実務面で支えてくれた従業員さんや特に奥様のご支援が大きかったと思いますね。尾方 若いときから商売を始めましたから、私が公私ともに忙しいときもいつも応援し続けてくれました。感謝しています。前田 本日は、貴重なお話をありがとうございました。1 商業活動調整協議会。大規模小売店法に基づき、地域の商工会、商工会議所に設置された機関。商業者、消費者、学識経験者の代表で構成され、大型店の新設や増床、増設などについて、協議会の中央組織である大規模小売店審議会の諮問を受け、意見調整されるものとされた。1992年1月に廃止。■企業概要企業名………有限会社 赤ちゃん屋本社所在地…千葉県鎌ヶ谷市右京塚3-10修行時代……昭和33年~42年・第一次繊維会社(卸・小売り):日本橋、大阪本町・第二繊維会社(紳士服生地販売):東京神田須田町開業…………昭和43年:埼玉県川口市に紳士服、婦人服の専門店オープン 昭和45年:鎌ケ谷市駅前店オープン 昭和50年:初富店オープン 昭和56年:川口店KIDSオープン 昭和58年:初富店、川口店KIDSを鎌ヶ谷市右京塚店に集約し、100坪店に拡大 平成9年川口店を集約し、赤ちゃん専門店として現在に至る事業内容……子供服小売業取扱商品……ベビー用品、マタニティ、宮参り用品、チャイルド服、玩具店舗数………1店舗年商…………3億円(最高)従業員数……14人(最大時:パートを含む)営業時間……10:00~19:00インタビュア:前田進アシスタント:㈱MCM 前田登美子

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 19

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です