中小企業支援研究vol1
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5中小企業支援研究 別冊 Vol.1と言っていますが、素直とは何かというと天の心なのですね。自分に素直というと僕は基本が怠け者なので寝てしまうし休んでしまう。ところが天の心となるとそうはいかない。お天道様が見ているからしっかりしなければ、となる。そういった点では、松下幸之助が言っていることは僕にとってはとても参考になっています。前田 そういう人は働くことが楽しかったのでしょうね。働くことによって得られるものが大きかった人なのでしょうね。松崎 みんなを幸せにしていくことを考えたら、働かざるを得ませんよね。前田 そうすると、考え方としては、自分の幸せだけを考えるより、他人が幸せになってくれることが、自分が幸せになるより幸せだ、ということですね。経営者は人の上に立つ方として自分の心をいかに整えておくかということも大切であることがよくわかります。松崎 おっしゃる通りですね。前田 ところで日本の中小企業は会長のように目をつけるところは少なくて、どうしても目先の景気などに左右されがちな面がたくさんあるのですが、そのような視点ではいかがでしょうか。松崎 先日、町田相模原経済同友会で景気について質問されたのですが、私は、景気不景気はあまり考えていないと言いました。自分の景気不景気と世の中の景気不景気は違う。不景気の時でもやり方ひとつである、そう言ったら笑われてしまいました。皆が不景気だといっているから不景気なのでしょうか。写真業界が不景気だったら自分のところも不景気なのでしょうか。ウチはやり方が違うし考え方が違う。これが僕の持論です。前田 これは分かりやすいですね。もう少し具体的な点も聞かせていただきます。最近は動画が手軽に撮影できるようになりましたが、写真と動画の違いというか、そのあたりはどのように考えているのでしょうか。松崎 しばらく前からビデオがかなり普及していますし、35ミリ(写真用カメラ)からも動画が撮影できる時代になりましたが、動画は取り入れてもいいし、取り入れなくてもいいと思っています。というのは、動画を永久保存したとして、それを見る機会はどれだけあるのかと考えると、写真の方がアルバムなどでいつでも手軽に見る事ができるからいいよね、という考えはあります。昔の婚礼写真は型物といって固まったもの、動かないで撮影するものが婚礼写真だったのですが、それに抵抗する形で写真館を創ったのですから、婚礼はこうでなければいけないという考えはありません。写真館も動画をとりいれなければと言われていますが、でも私は奥手です。本来の写真がおろそかになってしまうから。前田 動画などは情報量が多いので、感性が働かなくなるともいいますね。松崎 とにかくウチはお客様中心なので、お客様を撮影するにあたって、100%以上の集中力で対応している中で、動画が入り込む余地はありません。だから、安易に動画は取り入れにくいのです。神社などで動画をとるのはいいのですが、スタジオの中での動画はどうなのか、気になるところです。前田 写真と動画の違いはどのようなものでしょうか。松崎 たとえば私は動画が送られてきてもなかなか見ない。面倒なのです。写真は面倒くささがない。前田 写真には美があるということもありますか。松崎 そうですね。写真は永久に残したいと思っています。世の中に写真館がなくなっていってもウチは残っていこうと。前田 残り方があるということですね。松崎 みんながお客さんであればいいのですが、そうではなくて、お客さんの層のランクでいうとどのラインなのかと。最下層の人たちは厳しい。客単価というものがあって、どのラインがいいのかというのを考えているのですが、チェーン店の写真館のような写真を撮るとお客様に叱られます。新聞の折り込みにしても、朝日、読売、日経を使っていて、安売りをして契約している新聞には折り込みはいれません。いい写真を撮りたい人がウチにくればいいと思っています。そうでなければ商売は成り立っていかないのです。前田 ポジションというのでしょうか。上を狙いすぎても下を狙いすぎてもいけないのでしょう。適切な層を狙っていかなければ中小店は稼げないということですね。松崎 そうですね。ウチの客単価は10万円前後と高額です。それはアルバム志向だから。お客さんにとっての宝物づくり。お孫さんは6つのポケットを持っていると言われますが、ウチも全く同じです。価格帯が底辺層は利益が上がらないのでやっていけない。だから、いい仕事を徹底してやっていく理由はそこにあるのです。現在では七五三で日本髪を結えるところはほとんどありません。だから手間のかかる仕事をやっているのです。前田 手間のかかる仕事がいい仕事なのですね。感動もそこに生まれる。まだまだいろいろお伺いしたいところですが、時間も限られていますので、今回はこのあたりで。本日はありがとうございました。■企業概要会社名………株式会社薬師スタジオ(本町田店、原町田店、アメリア店、ドレスショップM&M)、株式会社シモン(愛と神話のウエディングチャペル)住所:店舗所在地薬師スタジオ 本町田店:東京都町田市本町田2946-3薬師スタジオ 原町田店:東京都町田市原町田2-4-3薬師スタジオ アメリア町田根岸店:東京都町田市根岸2-18-1 アメリア町田根岸SC2FドレスショップM&M:東京都町田市原町田2-6-14 ドミトリー原町田2Fパトリック・キソ・ガーデン:東京都町田市木曽東3-35-33資本金………㈱薬師スタジオ3000万円、㈱シモン5000万円従業員数……薬師スタジオ20人、パトリック・キソ・ガーデン23人、パート従業員約100人経営理念……「しあわせ色のストーリーをつくる」年商…………グループ年商11億円(パトリック・キソ・ガーデン8億円、薬師スタジオ3億円)、登録顧客数約24,000人インタビュア:前田進アシスタント:中小企業診断士 大谷秀樹

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