中小企業支援研究vol1
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6中小企業支援研究 別冊「高質な商品開発力で高利益率を実現」激戦地区でも高質な店づくりで成長前田 まず、御社の簡単な歴史をご紹介ください。石戸 当社は現会長(孝行氏)が鮮魚・塩干・乾物類を扱う石戸商店を昭和26年に開店したのが前身です。その後法人化し、徐々に店舗を拡大して今日に至っています。柏市を中心として隣接する我孫子市・流山市に8店舗を展開する、生鮮食品を主力とした食料品スーパーマーケットです。私は平成12年に社長に就任しました。前田 柏市は高島屋、そごう百貨店をはじめイトーヨーカドーなどが出店する非常に競争の激しい立地ですが、コンセプトといいますか、他店と異なるお店の主張点はどこに置かれていますか。石戸 当社は、父の代の魚屋から始まっております。鮮度がよくておいしいと人気店でしたが、昭和38年にスーパーマーケットに業態転換し、その後、『安全・安心な商品をお届けします』をコンセプトに掲げて、お客様に「鮮度」、「品質」、「こだわり」、「独自性」を中心とした「高質」な商品を提供する高質なスーパーマーケットを目指し、「買物の楽しさ」と「食卓が食べ物の話題で楽しくなる」という想いに基づいた店づくりをしています。環境変化で大転換前田 日本でも数少ない「高質スーパーマーケット」に業態を転換するきっかけとなったのはなんだったのでしょうか。石戸 昭和44年から48年に柏が再開発され、人口も増えどんどん発展しましたが、それとともに百貨店2店舗(そごう、高島屋)、GMSや大型店が増えるなど競争環境が急激に厳しくなるということで、それが高質なスーパーマーケットに転換するきっかけとなりました。前田 社長は15年ほど前に事業を承継されたわけですが、それまでのことをお聞かせいただけますか。石戸 私は、学生時代をアメリカで過ごしましたので、英語の使える仕事をしたいと思い、30歳まで百貨店に勤務し、海外ファッションブランドのバイヤーなどの仕事をしていました。前田 事業承継のきっかけはなんでしたか。石戸 父が50歳のとき、ある日急に「55歳になったらやめる」と宣言したしました。実際は6年間別の方に中継ぎをしていただいた後、私が代表となることになりました。前田 新社長の経営哲学はどのようなものでしたか。石戸 大手企業ではお客様に安く提供するために、いろ経営者インタビュー【株式会社京北スーパー】百貨店、GMS、スーパーマーケットやディスカウントストアの競合がひしめく中で、「価格が高いのは承知のうえで利用している。おいしくて品質が良いから利用し続けている」と顧客から熱い支持を受けている、㈱京北スーパーの社長、石戸義行様にお話を伺いました。当社は、競争力のある商品の魅力と総利益率を向上させるマネジメント力によって、スーパーマーケットを8店舗経営しています。当社の独自性の高い経営手法は、マスコミでも紹介され話題なっています。社長プロフィール石戸義行(いしどよしゆき)、1962年生まれ。大学卒業後、一時、当社に入社後、大手百貨店の商社部門を経験する。30歳まで貿易の仕事に携わり、輸出・輸入、為替の知識などを習得し、海外買い付けも経験。創業者(父)の55歳引退宣言を機会に会社に戻る。38歳で社長就任し、「食文化を通じて地域貢献する」を理念に、量販や価格に依存しない高質なスーパーマーケット業態を確立する。チームワークの良い会社を目指し、参加型経営体制を確立して現在に至る。

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