中小企業支援研究vol2
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中小企業支援研究 別冊 Vol.213歴史がございます。家族経営を中心にやってこられましたが、このノウハウは今後どのように継承し、発展をされる計画ですか。渡辺会長 私たちが構築したこのノウハウを後継者によって一層近代化し、拡大し、グローバル化されていくとよいと思っています。現在は、会長、社長、長男が代表取締役になっており、長男(代表取締役CEO、浩太郎氏)は、慶応大学理工学部の工学博士号を取得しています。現在、海外を中心にとび回っており、今後は工場管理も学び、本来当社の特徴でした研究開発をすすめて、事業を承継してくれたらと思います。前田 ご長女(取締役経理総務部長、斉藤志津江氏)も財務を担当されており、心強いことと思います。従業員の皆様に関してはどのように考えておられますか。渡辺社長 税理士先生の社員教育などを通じて管理職のメンタルな研究も重視しています。経営コンサルタントの先生にも月一回指導を受け、5Sの改善、納期の問題に取り組んでいます。前田 そして、当工業団地に入居されました。井之上さん、まちだテクノパークの特徴をご紹介ください。井之上 まちだテクノパークは、国際的にもトップクラスの技術を持つ企業の集積です。「産業クラスター計画」により集合した異業種の「研究開発型企業集積」です。個々の企業の資源の限界を超えた「連携」によって、「強いサプライチェーン」により新たな創造をしていくことが「まちだテクノパーク」の目的です。前田 ここに移られた当時の状況はいかがでしたか。渡辺会長 煙、騒音、などが問題になり、この工場団地に移転しました。それから、ISO9001を認証取得したのも町田市で2番目でした。その勢いで、環境がうるさく言われるようになりましたので、ISO14001も取得しました。人材同様、工場では、美化や整理整頓はむずかしい問題ですが、力を入れています。前田 新堀雄也副工場長は当社の特徴についてどのようにお考えですか。また、工場での問題などどのようなことに留意をされていますか。新堀副工場長 当社は他社ではできない平型ばねに特徴があります。工場内では、QCDを常に留意し、朝礼を行い、ミスについては集まって分析して、対策をたてるようにしています。ミスが再発しないことに力を入れています。渡辺会長 副工場長はコイルフォーマーで巻きの技術者でもあります。人材育成も担当しています。新堀工場長 今後は、5Sに力を入れて、どなたにも見ていただけるような工場を目指したいと思います。前田 御社は、自動車産業、回転式熱処理炉の過熱むらを防ぐ高温の台座を支えるばね、金型用スーパーばねなど、また六価クロム、鉛など有害物質を含まないエコに貢献する製品を開発するなど、ばねづくりを通して新しい製品開発に努めてこられました。2014年にはアメリカのインデアナポリス開催のWAI(WAI OPERATION SUMMIT & WIRE EXPO2014)で、共同開発者としてCEOが銀賞を受賞されています。渡辺社長 まだまだ発展途上ですが、家族でスタートして、今まではスタッフの協力と関係企業、支援機関の皆様の応援を頂いて頑張ってきました。前田 工場内も、近代化・システム化が進んでいますが、スタッフの皆様が一人一人持ち場で、汗を流しながら制作、検査、そして納品管理に取り組まれている姿を拝見しました。渡辺会長 よく頑張ってくれていると思います。前田 時代のニーズに合せて、多様な業種にわたり日本の最先端の技術を支えるオリジナルなスプリング製品を、いくつも生み出されてこられたご努力に敬服いたします。過酷な時代にも、高い目標に向かって、情熱をもって研究開発の努力をし続けてこられた成果であることを学ばせていただきました。その原動力がご家族の結束力、良きスタッフのご努力であることも教えていただきました。市場のグローバル化と産業・ユーザーのニーズが多様化するにつれて、独自の技術やノウハウを持った強い中小企業の存在がますます重要になってくると思います。本日は、長時間にわたり貴重なお話をありがとうございました。御社のますますのご発展をお祈りしております。■企業概要会社名………株式会社 多摩スプリング住所…………〒194-0215 東京都町田市小山ヶ丘2-5-14創業…………昭和34年(1959年)事業内容……ばねの設計、製作、販売従業員………30名(本社)、20名(東北事業所)、20名(中国青島)資本金………8,000万円年商…………約7億円(平成26年度)インタビュア:前田 進 WAI(2014)で銀賞を受賞

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