中小企業支援研究vol2
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中小企業支援研究 別冊 Vol.216そういう人と密になって、その人達がもっているお客様とかそのお客様の、〇〇会の幹事長に接点を持たなければ話が進まないという事がようやく分かってきました。今まではできるだけ多くパンフレットを置いて軒数を回るだけの営業を行っていましたが、それでは駄目だという事です。しっかり話をして、できれば一緒にゴルフの練習をしたり、場合によってはお酒を一緒に飲むとか、コンペに参加するなど人間関係を構築するような営業の方法が効果を得られることを学びました。やり方を変えたとすればその辺です。新しいところでは、従来は個々のゴルフ練習場を訪問する営業を行っていましたが、例えば〇〇県ゴルフ練習場連盟のような上部組織と接点が出来て、そこからゴルフコンペ参加へのお誘いがありコンペに参加したところ、一緒にまわった人達がゴルフ練習場の社長さん達で、そこから話が進んで、忘年ゴルフとか各練習場の忘年会とかに派生するようになり、この夏も8月にある県のゴルフ練習場連盟主催の記念杯に招待され、協賛したり、そこから社会人大学のゴルフ部との接点が出来たのですが、これは広告等で案内もしました。要するに、どこに営業すべきか、それから広告等のプロモーションコストの掛け方を勉強しました。阿左美 社長就任直後に思わぬ試練に直面して、そこから成長するために、営業スタイルについて学ばれたお話をお聞きしましたが、社長として会社経営をする上で心がけている事はありますでしょうか。茶木 私の座右の銘は「一艇ありて一人なし」です。全員で全力を出し切るという事です。ボート競技は全員が同じ方向に向かって同じ動きをする競技であり、就職では組織に最も向いているといわれてきた競技です。ボート精神とはローアウトといって皆が倒れるほど限界までこぎ続けるのです。私が会社経営においてやりたい事は、全社員で同じ方行に向かってローアウト精神で120%の力でやって行きましょうという事ですね。課題解決には従業員モラールの高揚施策と晴観荘にしか出来ない取り組みを阿左美 次に今後についてお聞きしたいと思いますが、現状での課題はございますか。茶木 そうはいっても、なかなかチームワークを取る事の難しさを感じています。同じ方向に向かって一つになって進めれば良いのですが。これが課題です。阿左美 では、課題解決のためにどのような施策を実施していますか。茶木 ミーティングをして現状を理解してもらい、何をどのようにしていくのかを確認しております。阿左美 現在(コストや営業などで)工夫されていることはありますか。茶木 食事材料などの原材料費が高騰してきたので、材料費率が上がらないように調理場が努力しております。営業に関しては、グループや団体のお客様はネットからは入らないので、纏め役をして下さる幹事さんの所を中心にご挨拶回りをするようにしています。それから、今まで従業員のための賄いを作っていましたが止めました。忙しい日はどうしてもルーム関係が22時、23時になりますから、その日はフロントも遅くなります。そういう日だけは賄いを作っています。阿左美 従業員の労働意欲を継続するために、どのような工夫をされていますか。茶木 7月から新年度の経営計画が出て、売上を伸ばすために一人ひとりが何をすべきかを考えてもらい、売上計画が実現出来たら1人当り月5千円の手当てを出す事を決めました。阿左美 従業員の意欲づけですね。それでは教育については、どのようにお考えでしょうか。茶木 お客様は首都圏の方が多いので、美味しい物や良いサービスは当たり前で、田舎の自己流では満足してもらえませんので、接客サービスの向上に努めています。阿左美 そうしますと、接客サービス向上のための研修等は行っているのですか。茶木 観光協会とか、色々な市で研修会を年に1〜2回実施していますので、そういうものに参加してもらったり、外部講師を迎えて接客講習会を行っています。うちの場合は何が一番良いかというと料理よりは接客サービスが高得点(評価サイトで)なんですよ。よその旅館で揉まれてきたスタッフが多いのと、小さい旅館ですからお客様がそれ程多いわけではないので、お客様と気心が知れて、お客様が思っている以上の接客だったと感謝される事が多いようです。阿左美 先程、うちは接客サービスが高得点であるとおっしゃっていましたが、これも御社の強みだと思いますが、他に御社の優位性(強み)はございますか。茶木 自然豊かな広大な土地(15,000坪)と裏山から湧き出る名水、お部屋からの大眺望、石段街にある本館「市川旅館」(現在は宿泊出来ませんが)だと思います。ここで黄金の湯(こがねのゆ)をご利用頂けるようになっています。阿左美 それでは御社を取り巻く経営環境(特に機会)は、どのように変化して来ていますか。茶木 富岡製糸場の世界遺産による群馬県への観光客の増加や、県をあげてインバウンドに力を入れています。伊香保に台湾の佛光山の大きなお寺が出来たので、台湾からの観光客も期待できます。阿左美 他にはいかがですか。茶木 「機会」という意味の環境とはちょっと違うのですが、うちの取り巻く環境というのは、どうしても施設ありきなんですね。装置産業ですから。それが年々老朽化していくわけですが、新しく出来ないまでも清潔感とか磨きをかける事は出来ると思うのですよ。このロケーション(みどり溢れる豊かな自然と眺望)に胡座をかいていたのかもしれませんが、お金をかけるべきは客室・お風呂だと思っていました。お客様が一番長くいる場所

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