中小企業支援研究vol2
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中小企業支援研究 別冊 Vol.226編 集 後 記 2013年3月に創刊の本誌も、係者各位のご支援により第2巻においても特集号(別冊Vol.2)を発行させていただくことができました。特集号は、創刊号から好評をいただきました、企業経営者のインタビューを中心にご紹介してまいりました。 昨今、大企業においても経営の悪化や統廃合が報道されることも多くなってまいりました。そのようななかで、中小企業経営はなおさら厳しさが指摘されます。しかし、中小企業には中小企業ゆえの魅力も成長の仕方もあり、成長への転換期があります。そこで、その都度どのような工夫をしていくか考えなければなりません。そのような視点から、巻頭で本学商経学部長の太田教授から、二極化が進行する社会経済のなかで、中小企業にはこれまでにない発想の転換、逆転の発想の重要性について事例をあげてご示唆をいただきました。今回インタビューにお答えいただいた企業はまさに太田教授の指摘される「逆転の発想」を実践して存続する企業、成長する企業の事例でした。 「有限会社中台製作所」の中䑓洋様からは、日本文化の象徴「祭り」の舞台を彩る神輿を制作し、江戸時代から160年間に及ぶ歴史のなかで創業から受け継ぐ伝統の技、そのための人の重要性、お客様と接する姿勢の重要性、そして「老舗」ゆえに陥りがちな経営上の危機についてもお話をいただきました。特に先代が築いた「信用」がいかに重要な経営資源であるか、それを若い人にどのように伝えていくか、そのためのコミュニケーションの重要性についてもお話をいただきました。北海道の自然素材の化粧品メーカー「株式会社ローレル」の今井浩恵様からは、OEM生産をしていた地方都市の企業からオリジナル製品を開発し、首都圏への進出を成功させ、現在では世界を視野に入れたブランドへの成長戦略のプロセスについて伺うことができました。「株式会社多摩スプリング」の会長渡辺吉明様、社長渡辺イシ子様からは、ばね一筋に家族経営の小規模な企業から海外に生産拠点を持つまでに成長したプロセスについて伺いました。ここでは「メーカーになる」という強い思いと、技術力、製品開発力の重要性が指摘されました。「株式会社晴観荘」の社長茶木茂直様からは、名湯で名高い伊香保温泉の廃業も増える旅館業として、創業115年の歴史をいかに守り続けているかのノウハウについて伺いました。社長就任直後からの、老舗後継者の立ち向かった工夫は、中小企業の皆様にも大きなヒントをいただけたものと思います。 開業率と廃業率が逆転して久しい我が国には、事例のようなたくましい中小企業の継続的な起業が我が国経済社会の発展にとってますます重要なテーマになっています。そのような視点から、嘉悦大学大学院の三井逸友教授からは企業(起業)教育に取り組む大学の現状や今後のあり方に幅広い視点からご示唆を頂きました。 多くの皆様のご協力で本特集号も充実するものにできたことをここに深く感謝を申しあげます。『中小企業支援研究』編集委員長 前田 進— 発想の転換とたくましい中小企業 —

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