中小企業支援研究vol3
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中小企業支援研究 別冊 Vol.38治面地 前述のご指摘やデータが裏付けるようにコーヒーのすそ野は広がっています。しかし、顧客である喫茶店様は減少しており、弊社としては生き残りをかけて対応する必要があります。そこで、家庭向け市場への販売を強化しています。特に、コーヒーの普及に伴い価格は高くとも良質なコーヒーを求める消費者も増えています。弊社の企業規模は大きくないのですが、工場を所有し製造管理を徹底することで大量生産から小ロット生産までお客様のニーズに対応ができます。それを活かす考えです。 特にスペシャルティコーヒーは、生産地の特徴ある風味や特性を表現し、栽培から製造、そして輸送、保管、最後にはお客様への提供の段階まで品質が管理され消費者の安心・安全にも対応できるコーヒーであることが求められます。今回の買付けではコスタリカに出張し、途中コロンビアのコーヒー農園にも立ち寄り情報収集も行いました。弊社が買い付ける農園では、熟したものを選んで収穫し手間をかけて豆を精選しています。並々ならない生産者の努力と想いを込めてコーヒーを生産しています。この想いを日本の皆様に伝えることで、第一にクオリティの高いコーヒーを望まれる消費者に提供すること、同時に生産者や農園で働く労働者の生活の向上への貢献を目指しています。繰り返しになりますが、弊社は品質管理の認証を得た工場を所有しているため、コモディティ商品の提供とスペシャルティコーヒーの提供が可能です。クオリティの高いコーヒーを望まれる消費者へのスペシャルティコーヒーの提供で、業務用卸需要の減少を補うとともに、専門店である喫茶店様と一緒に生き残りを図る考えです。村山 自社工場を所有され、ISO9000Sの認証を得ていらっしゃいます。加えて、UTZ(うつ)という認証3も取得されていますね。治面地 品質管理に関する認証は、取引上からの必要性もあったのですが、消費者のニーズに対応することでもあり、食品製造者という点からも不可欠な取組であると考えています。また、弊社はUTZの認証を得ています。それは、弊社の理念を裏打ちする取組みといえるものです。認証の要件はコーヒー生産者が、環境と資源を守りながら優れた農作物を栽培し、より多くの収入を得られるように支援することが求められます。同時に品質を管理し、コーヒーの良さを味わってもらうということなので、製造を担うものとしても当然の取組みです。弊社では、認証を通じて持続可能な調達への取組みを消費者の皆様にも理解していただきたいと考えています。厳しい競争下での生き残り策村山 厳しい競争下で御社が生き残るため、社長はどのようなことを考えていらっしゃいますか?治面地 第一に、自社工場を所有していることを今以上に活かすということです。弊社は小ロット受注の対応も可能で、OEM提供が可能です。焙煎機はないけれども“こだわり”のコーヒーを提供したいという事業者様との取引を拡大することを考えています。 第二に、生産地、特にコーヒー農園とのダイレクトな取引によるスペシャルティコーヒーの提供を強化することです。特に弊社では、小規模な農園との取引も積極的に行うことで、地域に貢献するとともに、農園が持つコーヒーに対する“こだわり”を消費者に伝えていくことで支持を得たいと考えています。 第三に、コモディティ商品4であっても、“上質”をテーマとした商品供給を強化したいと考えています。既コーヒー農園の生産者と治面地社長UTZの要求事項3 UTZでは、厳しい要件への遵守が第三者認証機関により監視されている。要件の中には、優良農業実践と農業管理、安全で健全な労働条件、環境の保護が含まれている。そのロゴマークは136ヵ国の13,500種以上の製品に表示されている(UTZ2015年年次レポート)。4 サードウェーブの流れから成長が著しい猿田彦コーヒーや堀口コーヒーもスーパー等に商品を供給している。チモトコーヒーとも競合するライバル企業でもある。

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