中小企業支援研究vol3
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中小企業支援研究 別冊 Vol.39存の大手流通会社様から理解と支持をいただいていますので、それを広げていくことが役割と考えています。そのため、積極的に展示会に出展しています。キーコーヒーと物流における提携村山 キーコーヒーと配送において提携されていますね。治面地 弊社はコーヒー以外にも喫茶店様が業務に使用する食材の卸売も行なっています。一方、東京ではコーヒー及び食材の配送を共同配送することで、渋滞などの交通事情によるコスト、駐車コストなどの負担を減らすことが可能になりました。配送の効率化は両社にとってメリットが大きいこと、先代、先々代が、弊社と同様に業歴が長いキーコーヒー様の役員様と懇意にしていたことから提携を進めることができました。実際に共同仕入れにも結び付き仕入れコストの低減という相乗効果を得ることができました。課題とその対応策村山 生き残り策とも関連しますが、御社の課題はどのようなことでしょうか?治面地 弊社の想いを消費者や事業者様に理解いただくためにも情報提供が重要と考えています。そのためには、社員の能力向上が不可欠と考えています。弊社では、社員のコーヒーに関する資格5取得を支援しています。しかし、業務を担いながらの勉強であり、資格の難易度も上がっているため全員の取得までには至っていません。当面は、全員の資格取得、そして上級資格を取得する者を増やしたいと考えています。 さらに、弊社が取引する農園や産地の情報などを社員に伝えていますが、それを情報として喫茶店様やバイヤーの方に提供してもらいたいと考えています。情報提供は弊社の想いの理解に結び付きますし、情報提供を通じた意見交換の中でお客様等のニーズを把握し、商品提案に結び付くと考えています。商品提案により取引先様がそのお客様からの支持を得て成長していただくことは弊社にとっても利点になるからです。 第三に、技術の継承です。弊社も高齢の社員が増えており、特に工場では技術を引き継ぐことが課題です。そのために、営業を含めて人材の確保が課題といえます。今後は、女性の営業担当者も積極的に採用したいと考えています。 この他にも課題は多いのですが、工場設備の老朽化への対応でしょうか。幸い金融機関には理解いただいているので、計画的に更新を進めることができています。しかし、競争環境が厳しい中で多額の投資が必要なので悩ましいところです。◆インタビューを終えて 株式会社チモトコーヒーは、コーヒー豆の焙煎から粉砕、袋詰め加工を自社工場で行っている。それらは主に、喫茶店やスーパーに卸されている。しかし、取引先である喫茶店は減少していること、OEM商品の提供であることから製品を私たちが直接目にすることは少ない。また、景気の波にも左右され業績の低迷も経験したと思われるが、長い業歴を維持し今日に至っている。 参考になる取組みは多いが、その中でもスペシャルティコーヒーの取扱いに関する取組みは一つのポイントであろう。自社で農園との直接の取引、そのために産地に出張して農園の取組みを直に確認している。特に、自社のみの利益を考えるのではなく、産地の自然や労働者の環境までを踏まえた取組みは、現代企業に求められる取組みであり先進的であるといえる。当然、工場では品質管理の徹底、物流の管理徹底により、高い品質のコーヒーを提供している。また、現在ではインターネット販売に力を入れていることもあって、自社ブランド商品の売上を伸ばしている。直ぐに大きく業績を伸ばすことはできなくとも、着実に実績を伸ばすことに結び付くと思われる。それは、自社工場を持ちその機能を活かしていること、そして変化への対応を企業トップ自ら率先しているからといえよう。ここに老舗企業の底力をみることができる。■会社概要会社名…………株式会社チモトコーヒー本 社…………〒146-0082 東京都大田区池上4-3-17資本金…………1億2,750万円URL…………http://www.chimoto-coffee.co.jp/創 業…………昭和2年2月年 商…………9億従業員数………51名インタビュア・原稿執筆:村山 賢誌…千葉商科大学経済研究所客員研究員中小企業診断士(ITマネジメントセンター代表)インタビュア:鈴木 直志…千葉商科大学経済研究所中小企業研究支援機構長千葉商科大学商経学部准教授5 全日本コーヒー商工組合連合会が主催するコーヒー鑑定士、コーヒーインストラクター検定などがある。

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