中小企業支援研究vol3
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中小企業支援研究 別冊 Vol.313部制を止め、よりフラットな14の課に分け、その課のトップには問題意識のある若い社員を抜擢しました。また、若い社員の危機意識や不満に応えてやることで、若手社員が自信を持ち、アイディアを提案できる土壌をつくり上げることが出来ました。技術系の現場でも女性がいきいきと活躍する大塚 御社は女性が働きやすい会社として工夫をされているようですが、どのようなことに留意しておりますか。 芦澤 女性の活躍の例として、新創業と同時に新卒の女性を採用したところ、語学の能力を活かすばかりでなく、機械について勉強し、技術系の現場で大活躍をしてくれました。そんなことから、新創業以降、女性の割合は現在でも2割強と製造業として高い比率を占めています。女性の活躍の場は、事務的な仕事ばかりでなく、広報活動、開発、知的財産、品質管理などにも力を発揮しています。女性に働きがいを感じさせてやるという点では、結婚、出産、育児など、女性ならではの生活環境に配慮し、育児休暇を推奨するのはもちろん、「生活サポート短時間勤務」を創設し、最短で週21時間でも勤務できるような制度をつくりました。微粒子技術研究所を設立し、基礎技術の研究にチャレンジ鈴木 最近、IoTとかAIとかロボットの活用など、ものづくりが大きく変わりつつある中で、そういうことへの対応をどうお考えになっていますか。また小山市にある微粒子技術研究所の果たしている役割について教えてください。芦澤 私どもの機械は、オーダーメイドという点で手を抜いている分野かも知れません。今後、多品種少量生産の現場においても、これらの素晴らしい技術を応用できるようになると思いますので、当社の変革、成長の余地がそこにあると思います。微粒子技術研究所については、技術の先端を走る企業として“経験と勘”ではなく、論理的に究明し法則性を見出すことも必要なわけです。もう1つの理由は、我が社の未来を担う若手社員の人材育成という観点から、20代の若手社員を中心に専門基礎技術の習得のために、研究所に派遣しております。製品やサービスの向上を目指し、100年企業から200年企業を目指す鈴木 100年企業から200年企業を目指す体制づくりを構築されているようですが、今後の夢と展望についてお聞かせください。芦澤 当社が様々な製品を世に送りつづけているのには理由があります。技術だけでお客様の信頼は得られないと考えています。創業以来、当社が追求すべきテーマは規模の拡大ではなく、製品やサービスの向上です。今後も時代のニーズにこだわった技術力、お客様第一にこだわった「サポート体制」を充実させたいと考えています。こうした企業風土を継承しながら、100年先も社会から尊敬されるような会社として存続させたいと思います。それには、私がいなくても事業が滞らない企業になること、つまり、それが究極の自立であり、それが夢でもあります。そのためには、時代の変化に対応して挑戦と革新を繰り返し、着実にものづくりの道を歩んでいきたいと思います。大塚 4代にわたりものづくり企業として存続し続ける背景には、時代のニーズに対応するベンチャー魂と高い技術に裏打ちされた製造業でありながらサービス体制を充実させるという視点が重要なのだということを教えられました。本日は、長時間にわたり貴重なお話をありがとうございました。御社のますますのご発展をお祈り申し上げます。■企業概要会社名………アシザワ・ファインテック株式会社本社所在地…千葉県習志野市茜浜1-4-2創業…………明治36年。平成14年12月にアシザワ・ファインテック株式会社に組織変更事業内容……産業用粉体機器の開発、製作、メインテナンス従業員………124名資本金………9,000万円年商…………21億3,000万円(平成27年)インタビュア:鈴木直志……中小企業研究支援機構長大塚愼二……千葉商科大学大学院商学研究科客員教授(中小企業診断士養成コース担当)原稿執筆:大塚 愼二Photo.:リ ゲッカ…千葉商科大学商経学部経営学科2年会社スローガンの前で(大塚・芦澤社長、鈴木)

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