中小企業支援研究vol3
31/36

中小企業支援研究 別冊 Vol.329結論 高齢化社会の進展の下、2014年介護保険法の改定、2015年介護報酬改定、2016年診療報酬の改定が行われた、地域包括ケアシステムの構築に向け、在宅重点へと大きく舵が切られた。地域包括ケアシステムの運用に当たっては、一人ひとりの利用者(患者)に焦点をあてた医療・介護の一体的な提供が求められている。医療・介護の機能分化が進んだ今日、単独事業所の機能には限界があり、各事業所それぞれが経営合理性を追求したのでは、利用者本位のシステムは機能できない。しかし、実際には多くの地域で、各事業所の都合が優先され統一性のないサービスが提供されおり、利用者(患者)の立場に立った一体的なサービスの提供が社会的にも求められている。施設ごと、制度ごとの視点からではなく、事例のように、地域で暮らす住民の視点に立ち、各事業所間の有機的な連携により、利用者(患者)の希望に沿い、利用者がワンストップでサービスを享受できる、事業所間の総合的な管理運営が求められる。 この視点で見ると、協議会の取り組みは、厚労省の2025年に向けた地域医療構想12(図表14)や地域包括ケアシステムの構想とも合致するものである。また関係性マーケティングによる患者・利用者との結びつきは、地域包括ケアシステムを担う事業所の経営の視点で見ても、長期的に利用者(患者)と関わることで利益を確保できるしくみといえる。 地域の医療介護のネットワーク化による地域に根を張った取り組みにこそ地域医療・介護を担う医療・介護経営の方向性がある。12 財務省 財政制度分科会(平成26年10月8日開催)資料よりhttp://www.mof.go.jp/about_mof/councils/scal_system_council/sub-of_scal_system/proceedings/material/zaiseia261008.html図表14 2025年に向けた地域医療構想 (出所)図表:財政制度等審議会財政制度分科会資料より

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 31

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です