中小企業支援研究vol3
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中小企業支援研究 別冊 Vol.332編 集 後 記 2012年4月に創設された千葉商科大学経済研究所 中小企業研究・支援機構の機関誌『中小企業支援研究』も、本誌、別冊をそれぞれ年1回ずつ発刊し、今回の別冊第3巻を合わせて6号目となった。 今年度より、前機構長齊藤壽彦名誉教授から鈴木直志准教授へと機構長がバトンタッチされた。これを機に、本誌発行の目的である、中小企業およびその支援関係者にとって一層有益な情報提供の媒体となるよう、編集者一同気持ちを新たにしたところである。 本号の巻頭言では、鈴木直志新機構長より、中小企業減少時代の中で生じている企業間格差について、激変する外部環境に対して、長期的な経営視点の重要性、イノベーションの重要性について指摘していただいた。そして、武蔵大学の高橋徳行教授からは、30年前に開廃業率が逆転して以来、低迷し続けているわが国の起業活動と、政府の成長戦略の柱として掲げられている開業率倍増計画を取り上げ、国内の起業活動の現状について、地域別の視点から分析いただいた。そして地域の起業活動の成果を上げるための支援のあり方について、事例をあげて論述いただいた。 また、本機関誌の柱の1つともなっている経営者インタビューでは、それぞれ特色ある製造業、非製造業の4社をご紹介することができた。まず、都内原宿表参道で3代にわたって経営革新を続け、現在では全国に直営店120店舗、提携店舗約100店を展開するまでに成長した「株式会社生活の木」の社長、重永忠氏からは、事業の継続、承継のあり方を、「オール自前主義」モデルでご紹介いただいた。「株式会社チモトコーヒー」社長、治面地秀一氏からは、押し寄せる市場変化の波の中で、老舗メーカーとして、顔が見えるコーヒーの提供へのご努力についてお話を伺った。110年の歴史を誇る老舗機械メーカーである「アシザワ・ファインテック株式会社」社長、芦澤直太郎氏からは、老舗の経営革新についての経緯とその進め方について、貴重な示唆をいただいた。さらに、手打ちそば・地酒・懐石料理の老舗である「さわ田茶家」を経営する「有限会社万屋商事」社長、澤田政道氏からは、「一軒でも街が変わる」をテーマに、目的性の強い顧客をターゲットとした集客、地域振興活動とその雰囲気づくりについて、意義深いお話をいただいた。第一線で活躍されている企業経営者の皆様に、時間を惜しまずご協力、お力添えをいただいたことを深く感謝申し上げたい。 さらに今回は、これらの経営者ヒアリングで本校大学院の中小企業診断士養成講座を修了した中小企業診断士大柳規幸氏にインタビュアとして参加いただき、そして論文では同養成講座卒業の中小企業診断士、経営コンサルアライアンスSOAR代表折笠勉氏の、医療業界での実証研究に基づく論文を掲載させていただいた。 本機構では、海外の大学、研究機関とのネットワークをつくり、国際的な中小企業研究・支援活動を推進することを課題としており、研究成果を国際的に報告できる論文の発表を願っている。そのため、論文の掲載については、齊藤壽彦前機構長(本学名誉教授)、橋本隆子経済研究所所長(同教授)、鈴木直志機構長(同准教授)より多くのご指導をいただいたことを申し添えておきたい。『中小企業支援研究』編集委員長 前田 進

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