中小企業支援研究vol3
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中小企業支援研究 別冊 Vol.37た。そして、豆の種類や産地、焙煎やドリップの方法などにこだわる店が米国で登場した1990年代後半からが、「第3の波(サードウェーブ)」と呼ばれている。代表格としては昨年2月に日本に上陸した米「ブルーボトルコーヒー」が挙げられる。コーヒーの提供方法においては、日本の昔ながらの喫茶店で親しまれてきた入れ方も影響したといわれている。そして、焙煎(ばいせん)方法や豆の産地を重視する「サードウェーブコーヒー」の広がりを受けて、小さなカフェや家庭での自家焙煎の人気が高まりつつあり、それを後押しするコンパクトで手頃な価格の焙煎機が登場している。自家焙煎が第4の波になり、その広がりと同時にコーヒーの消費も一層増加するのだろうか。 グラフは、一人が一週間あたりに飲むコーヒーの場所や数(杯、缶は本)を示している。喫茶店の利用は2014年で0.2杯を若干上回る程度となっており減少傾向であることがわかる。また、缶コーヒーの利用も近年は1本に満たず自動販売機も多い中、伸び悩んでいる。このような状況の中で、家庭での飲用が7杯と増加傾向を示し、さらにレギュラーコーヒーの飲用では2008年の3杯強から4杯弱と持ち直しの傾向もあり、インスタントコーヒーは4.5杯程度と安定して一定数の利用が見られる。これらは、コーヒー嗜好者の増加に加え、生産技術や焙煎技術の向上に伴う質の向上、そして手軽にコーヒーを楽しむことができる環境が整ってきたことが背景として考えられる。つまり、コーヒーの“波”を受けた下でその普及が進んでいることを裏付けている。村山 現在はコーヒーブームといって良いようですが、コーヒー・メーカーとして社長はどのように捉えていらっしゃいますか?治面地 つい最近、産地への買付けに出張しましたが、同行したメンバーの中には都内にある自家焙煎のコーヒー店の経営者もいらっしゃいました。同行者の買付けを目の当たりにして、コーヒー需要のすそ野が広がっていると感じています。実際に、コーヒーについての“目利き”によって、味も美味しく、コーヒーの説明と提供方法も高いレベルに達していると思います。コンビニ・コーヒーの広がりと定着村山 セブンイレブンなどコンビニでのコーヒーは低価格でもあり手頃となっています。この傾向についてはどのように捉えていらっしゃいますか?治面地 セブンイレブンなどコンビニで提供されるコーヒーは、プロの視点からも確かにおいしいコーヒーです。データからも消費量が伸びていることがわかります。コーヒー需要のすそ野が広がっているという点では良い傾向といえます。村山 コーヒーが普及する一方で、昔ながらの喫茶店は減少しています。その点については、いかがでしょうか?治面地 弊社はレストランや喫茶店などに対する業務用コーヒーの販売を行っていますが、残念ながら時代とともに顧客である喫茶店様が減少しており、弊社として対応に苦心しているのは確かです。この喫茶店の減少は、ドトールコーヒーが展開したことから進んだように感じます。特に、夫婦で店舗を借りた営業は収益性から厳しい状況に追い込まれていると考えています。顔がみえるコーヒーの提供へ チモトコーヒーでは、顔がみえるコーヒーの提供を目指し、スペシャルティコーヒー2を提案している。村山 顔がみえるコーヒーの提供とは、いったいどのようなことでしょうか。それは社長ご自身が、産地に買付けに行かれることと関係があるのですか?インタビューに答える社長と塚谷取締役2 (一社)スペシャルティコーヒー協会の定義(抜粋):生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であり、しかも適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆である。そして、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる(From Seed to Cup)、とされている。出展:『コーヒー需要動向に関する基本調査を基に筆者作成(単位:杯)

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