中小企業支援研究vol4
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中小企業支援研究 別冊 Vol.48もかなわない千葉の菓子メーカーというコンプレックスを捨て、地元の農産物をお客様に提供する企業であるという風に考え方を変えました。私は、千葉及び南房総の歴史や史跡を贈答菓子にこじつけるのは止めました。代わりに、千葉の産物を原料にしていることにこだわりました。千葉県及び南房総は、農産物が豊富で、常時、全国ベスト4に入っており、人情が穏やかな土地柄です。当社は、これらの地域資源を菓子づくりに活かすことが重要であると考えています。当社のキャッチフレーズは、「千葉の豊かな恵み、人に思いをつたえる時に」です。喜びにつけ、悲しみにつけ、そのお気持ちをおつたえするときに、この地で生まれた花菜っ娘を添え物としてご用立て頂ければと思っております。千葉県の農産物を使った商品開発木原 御社は、千葉県の農産物であるびわ、メロン、なし、ピーナッツ、さつまいも等を使った商品を作っております。千葉県の農産物を使った商品は、どのように開発をされていますか。高橋 千葉県の農産物を使った商品開発において、地元の産品をよく知り、消費者のニーズに合わせて届けることを重視しています。消費者は、平成10年頃からは、田舎に対するイメージを変えています。以前の消費者は、田舎を「ダサい」「古い」といったマイナスのイメージで捉えていました。最近の消費者は、環境問題を気にされているため、「田舎の空気や水がおいしく、田舎のお菓子はいい」といったプラスのイメージで捉えています。例えば、「落花生風土記」は千葉の農産物であるピーナッツを練りこんだ商品です。千葉を代表する贈答菓子が欲しいというニーズに合っており、高い人気があります。「牛乳せんべい」は、日本の酪農の発祥の地である千葉ならではの新鮮な牛乳を使っている点が消費者に評価されております。また、「オレンジ芋タルト」は、千葉県でサツマイモの栽培が豊富であることに加え、千葉県香取市で作られているオレンジ芋を組み合わせることで、オリジナリティーのある商品として、人気があります。また千葉県鴨川市のメロンを使ったゼリーは、国の農商工連携支援事業の認定を受けて開発を行いました。商品ラインナップを工夫し販売力を強化木原  御社は、商品ラインナップが豊富ですが、どのような方針で商品づくりをされていますか。高橋 当社は、第一に、商品構成を重視しています。中でも、ニーズの高い定番商品である「花菜っ娘」に重点を置いています。定番商品以外は、地域産品を生かした「びわゼリー」や、黒潮の文化をイメージした「黒潮物語」、びわ、ピーナッツを入れた「どら焼き三彩」があります。当社は、これらの商品を組み合わせて、様々な価格帯と商品ラインナップを組んでいます。商品数の増やしすぎによるコスト増を抑えるため、商品販売量が伸び悩んだ商品は適宜入れ替えを行っています。例えば、最中は平成22年に生産を中止しました。木原  それでは、販売ルートはどのように整理されておりますか。高橋 千葉県内に限り、独自の配送ルートによる配送を行っております。東京などの遠隔地やネット販売は、宅配業者を活用して配送します。木原  マーケットセグメンテーションについて、何か戦略的なお考えはありますか。高橋 「機械化による贈答菓子市場」を主力マーケットとして捉えております。この市場のライバル企業は、東京都内等で優れた技術と感性を持った職人を集め、永年、お客様に信頼される商品を全国に製造、販売してA1級といえます。これとは別に「自家消費向け菓子市場」の企業があり、高い生産効率のなかで、品質をも高めようと努力しています。当社は、「自家消費向け菓子市場(B1級グルメ)」と、「一流専門菓子市場(A1級グルメ)」の中間を主要マーケットと考えており、この“A2級グルメ市場”をより深く開拓することを目指しています。木原 贈答菓子市場である“A2級グルメ市場”内での競争をどのようにお考えですか高橋 同じA2級グルメ市場の中でも、大手企業は、生産管理技術や商品開発で攻勢を強めています。贈答菓子市場で生き残っていくことは、大変だと感じています。当社の強みは、品質です。贈答菓子の購入者は、御自分がその商品に感銘して、それを贈答しようという気持ちを持ちます。このため、当社の営業や製造の現場担当者が、納得できる商品を製造しています。中でも、お菓子という食品を取り扱う上で、衛生面には細心の注意を衛生管理の行き届いた製造ライン

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