中小企業支援研究vol4
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中小企業支援研究 別冊 Vol.49図っています。このため、製造ラインでは、常に整理、整頓、清掃を意識して環境整備を心がけています。社員を平等に、「人づくり」「ものづくり」「まちづくり」が信念木原  御社は業歴が92年と長く、この社長室にはたくさんの表彰状や感謝状があり、これは高橋社長の意欲と信用、従業員の皆さんの貢献があってのものだと思います。人づくり、組織づくりについてはどのようにお考えでしょうか。高橋 私は、人との出会いやめぐりあわせを重視しており、常に誠意を持つことで「人づくり」を行っています。会社では社員を平等に、フェアに扱うようにしています。当社は、昇進制度や勤務マニュアルなどの人事制度を率先して取り入れました。また、商品責任票に製造部長名を製造責任者として入れております。お客様との接点を従業員に持たせることは、責任感のある仕事につながり、やりがいになると考えています。大塚 高橋社長は、地元を謙遜して館山には伝統文化が少なく、金沢や盛岡には勝てないと言っておられます。ただ、私からみれば館山は“里見の城下町”であり、南欧の“コスタ・デル・ソル(太陽海岸)”にも匹敵する美しい海があります。観光面では、まだまだ発展する可能性があるのではないでしょうか。あらためて伺いますが、会社や地域に対して、どのような想いをもっていらっしゃいますか。高橋 私は、「人づくり」「ものづくり」「まちづくり」というトリプルスリーを大切にしています。私が商工会議所の会頭の時に、大塚先生にまとめていただいた「館山市中心市街地活性化報告書」に書かれているハード面の整備は、実現のハードルは高くとも、敢行すべき課題と考えております。ものづくりに関しては、当社は単なる製造業という風に考えておりません。一次産業である農水産業の方から地域の食材を分けてもらい、菓子を作り、その後、お客様に販売しています。このことからも当社は、いわゆる千葉県及び南房総の6次産業化の中心にいる企業として「ものづくり」を志しているのだと実感しています。また私は、生まれ育った館山に愛着があり、地域が活性化することが最も大切なことだと考えています。会社を経営する以上、収益を上げることも大切ですが、社会的な責任として地域に還元し「街づくり」に貢献することも意義のあることだと考えています。社会経済環境の変化に対応し100年を超えて輝く企業へ大塚 御社は、あと8年で創業100周年を迎えられます。千葉県内でも100年を超える企業は数えるほどです。今後の課題や方向性についてお聞かせください。高橋 当社にとってのマイナス要因は、館山及び南房総地域において、ますます人口減少傾向が激しくなっていることです。このため売り上げを追いかけるばかりでなく、引き続き高品質な商品づくりとお客様のニーズに合った商品づくりを進めてまいります。一方、プラス要因としては、インバウンドの流れに加え、地産地消の深化や6次産業化の活性化、産地表示の義務付け等が挙げられます。当社は、これらの機会を活かして、千葉及び南房総の農産物の生産地でつくる地方の菓子メーカーとしての存在感を高め、100年を超えて燦然と輝く企業でありたいと考えております。大塚 房洋堂は正に館山の老舗企業です。館山という地域を愛し、地元の特産品を活かし、地域の人々との交流を通じ、房洋堂というブランド力を高めていくという、高橋社長の経営手法を学ばせていただきました。本日は長時間にわたり貴重なお話をありがとうございました。■企業概要会社名…………株式会社房洋堂事業内容………和洋菓子製造販売、土産品販売本社……………〒294-0043千葉県館山市安布里780番地連絡先…………TEL:0470-23-5111 FAX:0470-23-5112URL……………http://www.boyodo.co.jp/創業……………大正12年12月(西暦1922年)従業員…………40名表彰状の前で(左から大塚、高橋社長、木原)■インタビュア:大塚愼二…千葉商科大学大学院商学研究科客員教授            (中小企業診断士養成コース担当)■インタビュア及び原稿執筆:木原 工          …千葉商科大学大学院商学研究科客員研究員

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