中小企業支援研究vol4
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中小企業支援研究 別冊 Vol.424編 集 後 記 本誌『中小企業支援研究』の別冊Vol.4の発刊にあたり多方面皆様から様々なご支援をいただきましたことを深く感謝申し上げます。 特集号では、好評をいただいております、秀逸な経営ノウハウをお持ちの企業の代表者様から広く中小企業のモデルとなるお話を伺う「経営者インタビュー」と共に、中小企業経営に直接関わる現在の時事的な課題について、ご専門の先生からご投稿をいただくこととしてまいりました。 今回は、神奈川大学名誉教授の大林弘道先生から、中小企業にとって深刻な問題である「労働力不足」に関わる状況分析をしていただきました。近年サービス経済化が顕著に進む中で、中小性の高い対事業所サービス業や対個人サービス業にとって、このような労働力の問題はますます重要性を増しています。大林先生には労働力不足の問題について戦後の日本の歴史を遡って検証され、相対的に中小企業に集中する労働力不足への対応として、外国人労働力の雇用や女性・高齢者の労働力化・雇用の促進、さらには労働のサービス化、高能力化の推進を指摘するとともに、労働力不足の真の問題と欠落点の考察の重要性を示し、新たな展望を示唆していただきました。 このような中で、今回の経営者インタビューでも、素晴らしい業績をあげ長い業歴を誇る企業においても事業成長期、発展期、そして事業承継期にどのように労働力の問題と向かい合ってきたかという視点からも各社のノウハウを伺うことができました。 創業46年のキクチ㈱の菊地憲悦氏、潤氏からは、玩具づくりで多くの受賞歴を持つ会社としての成長過程で技術を熟知した有能な社員の存在、そしてそのノウハウや経験値の承継をどうするかについてもお話をしていただきました。また、創業60年の㈱たむらの田村誠一郎氏からは、イトーヨーカドーなどの総合スーパーに5店舗を出店するまでに至った経緯の中で、「社員を人生の勝利者にする」働きやすい環境づくりでスタッフ満足度を高め、家業から企業へと変革し、事業承継を成功に導いたお話をしていただきました。さらに創業100年を目前としている㈱房洋堂の高橋弘之氏は、千葉県の農作物を生かした贈答菓子の製造に向けて、社員を平等にフェアに扱うことによって責任感のある仕事、そしてやりがいのある仕事が実現できるように工夫されていました。そして、㈱カレントスペースの大西宏良氏は、CAD、システム開発、住宅設備の運用・メンテナンスという多様な事業の根幹に、現場を支える場面で重要となる人間性を考慮した人材の育成法について、スタッフを同志として接している思いについて語られています。 卓越したスキルやナレッジを有し、老舗へと成長しているそれぞれの企業の経営者のお話の中には、単なる労働力としてではなく、能力ある従業員の確保と育成が重要なキーとして語られており、そうした視点からも本誌をお読みいただくことができれば幸いに思います。『中小企業支援研究』編集委員長 前田 進

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