中小企業支援研究vol4
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中小企業支援研究 別冊 Vol.43田村 他社では景品や値引きなどのサービスで、消耗戦を繰り広げていく傾向にありますので、お客様が、値引きなどがなくても「当社の学生服を買いたい」と価値を見出す、商品政策に重点を置いています。佐竹 業界の競争が厳しい中で、御社は原点に回帰した学生服を中心としたスクールストアーとして、正攻法で商品政策上、他社との違いを経営に反映されているんですね。田村 他社では、メーカー規格のものをそのまま仕入れて売るというパターンが多いです。当社では、生地や縫製、シルエットなどにこだわり、新しい機能を追加したオリジナルの学生服を企画・提案しています。佐竹 御社では、お客様やその市場を見極め、メーカーにリクエストして、オリジナルの学生服を企画しているんですね。田村 生地メーカーとの打ち合わせによって、オリジナルの生地を作る事もありますし、他社が使っていない新しい機能を持った生地を積極的に採用し、高度な技術を持った大手縫製メーカーに製造を依頼しています。縫製メーカーとの強固な信頼関係で礎を確立沼口 御社と共に新たな機能を追加した学生服を作り出す大手縫製メーカーとの関係について、教えてください。田村 先代から取引が始まり、付き合いは50年以上です。生地の裁断・加工・在庫から、縫製、仕上げまで、一貫して行ってくれる当社を大切に扱ってくれる信頼できるパートナーです。佐竹 こちらの大手縫製メーカーとは、深い関係にあり、運命共同体ですね。多店舗展開による事業の拡大沼口 「イトーヨーカドー」さんや「イオン」さんなどの総合スーパーに5店舗を出店されていますが、その経緯について教えてください。田村 2003年にイトーヨーカドーさんの五香店(以下、五香店)に出店したのが始まりです。 学生服の予想売上と予想利益と人件費を考え、繁忙期にはスタッフが常駐していますが、閑散期には採算が合わないので、普段は無人にしている店舗もあります。 ですが祭事販売だけでは、お客様が当社を選んで頂けないので、お客様のアフターフォローをイトーヨーカドーさんにも協力して頂ける仕組みにしていただいてます。沼口 限られたリソースを最大限に伸ばし、不足する部分を総合スーパーに補完してもらっているんですね。総合スーパーに出店する御社のメリットはありますか。田村 やはり集客力です。広告に力を入れなくても、総合スーパーには大きな駐車場があり、車で来るお客様に、その名前を出すだけで集まります。佐竹 2003年に五香店に出店する以前の御社の販売店はどの程度でしたか。田村 本店だけでしたので、売上と客数は、共に現在の5分の1位でした。私が社長に就任する前に五香店に出店しました。五香店では、地元の有力店舗を誘致することから出店のお話がありました。 当時、当社ではもう少し高校の制服のシェアが欲しいと考えていて、五香店の他、松戸店と交渉して、良い条件で同時に出店することができました。当時は高校の制服シェアを百貨店にほとんど占められていたので、出店ができて良かったと思います。今も条件の変化はなく、イトーヨーカドーさんとは良好な関係を築いています。沼口 イトーヨーカドーさんへの出店は、人口減少、少子高齢化の中で、御社が成長するためにとった行動だったんですね。佐竹 出店の際には、社内で相談し、スタッフ全員が賛成されましたか。田村 賛成したのは、先代だけです。他の人は皆、心配しておりました。佐竹 出店に前向きだったのは、先代と社長だったんですね。どのように皆さんを説得されましたか。田村 閑散期にスタッフを常駐させないことを、イトーヨーカドーさんにご了承頂きましたので、迷いなく決め、殆ど事後報告で皆に伝えました。 五香店への出店が学生服で、多店舗展開をするきっかけとなりました。それまではスニーカーや健康衣料などの通販も行っていましたが、当社の強みは学生服だと再認識しました。先代と共に培った強みの学生服インタビューの様子(左:佐竹、右:田村社長) 本店店内 

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