中小企業支援研究vol4
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中小企業支援研究 別冊 Vol.47ちを良くする方法を思いつきました。このような試行錯誤を繰り返し、現在の「花菜っ娘」を開発しました。「花菜っ娘」は、油脂をたっぷり含んでいますが、ホイル焼きのため型崩れが無く、ふっくらとして、かつしっとりとした食感の商品となりました。発売数年後、アルミホイルでくるむ機械が出回りました。また、ネーミングについてもこだわりました。菜の花は、南房総の地元では「菜花」や「花菜」と呼ばれていました。「花菜っ娘」は、早春の菜の花畑にたたずむ幼い娘をイメージしました。新工場完成を追い風に、多彩な商品づくりとテナント出店大塚 ヒット商品の開発には、地域のイメージをどのように商品化するかという斬新な発想が必要なのですね。ところで、昭和52年社長に就任、昭和54年に本社と新工場完成後、さまざまな商品開発を行ったと伺っておりますが、どのような経営をされておりましたか。高橋  昭和50年頃から多店舗展開を行いました。出店場所は、五井西口、鴨川、君津、富津、市原、千葉、津田沼等でした。形態は、テナント出店が多くなりましたが、贈答菓子、和洋菓子、パンの製造販売、パーラーとしての飲食事業を並行して行っておりました。その後、平成2年のバブル崩壊による社会経済環境の変化を受けて構造改革を行いました。縮小した部門は、和洋菓子の販売、店舗の出店で、注力した部門は、贈答菓子の卸し販売でした。その後、当社は贈答菓子の商品競争を熱心に進めてまいりました。他の有名な菓子メーカーに負けないような商品づくりを開発の目標とし、作った贈答菓子を全国菓子大博覧会等に出品しました。その甲斐あって「花菜っ娘」は、第26回全国菓子大博覧会で農林水産大臣賞を受賞し、「黒潮物語」は、第21回全国菓子大博覧会厚生大臣賞を受賞し、「落花生風土記」は、第22回全国菓子大博覧会名誉総裁賞を受賞し、「どら焼き三彩」「牛乳せんべい」「甘藷の里」「実りのパイ」「おれんじ芋タルト」「南総里見八犬伝」などの当社を代表する商品においても、様々な賞をいただきました。現在の店舗展開は、本社・直営店の6か所となっております。卸売り販売先は、大手総合スーパーマーケット、百貨店、高速道路SA・PA、各ホテル、その他を中心に約70か所となっております。商品づくりで大切なことは、“地域の特徴”を生かすこと木原 高橋社長は、地元の生産物を使ったお菓子づくりにこだわられていると伺っておりますが、なぜ千葉の生産物にこだわっていらっしゃるのでしょうか。高橋 菓子づくりは、物語性が大切だからです。菓子づくりで歴史があり、全国菓子大博覧会が行われた都市は、松江、金沢、熊本、姫路、広島等の城下町として栄えた地域です。これらの地域は、大大名による一国統治があり、衣食住の伝統産業や独自の芸能が育っております。過去の日本の歴史の舞台としても登場しており、それらに基づく物語がさまざま作られております。千葉県は、昔から江戸の台所として、農水産物が豊富です。しかし、大大名の一国統治が無く、伝統や文化があまり育っておらず、歴史の舞台として登場していないため、物語性は乏しいのです。しかし私は、歴史的な背景が弱くとも千葉県及び館山市を愛しております。地域とお菓子を愛する身として、千葉のお菓子である当社の贈答菓子を全国にお届けしたいと強く思っております。大塚 全国に通用するお菓子を作る上で、大切なものは何だとお考えですか。高橋 私は、文化以外の点でお菓子づくりに大切なものは何なのかを考えました。その結論として地域の持つ特徴を生かすことだと考えるに至りました。当社の贈答菓子は、松江、金沢、熊本等の洗練された文化の中で育まれた銘菓に対抗できません。そこで、当社は伝統も文化ロングセラー商品「花菜っ娘」多彩な銘菓の組み合わせ

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