中小企業支援研究vol5
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中小企業支援研究 別冊 Vol.57係があることがわかってきたのです。つまり、高価な装置ではあるが1時間で3600枚も処理できるものと、安価であるが同じ時間で300枚しか処理できないものに分けられるのではないかと。そういう発想をしてきたのです。自動車の排気量と加速度の関係と同じような関係です。村山 みなさんがそのような実験の繰り返しから割り切って明快な答えを導き出す発想を持てるかというとそれは難しいですね。すべての中小企業の経営者が社長と同じような背景を持てませんし、自社の事業に応用するのは、なかなか難しいことだと思います。社長のオリジナリティのところをもう少し深くお聞きしたいのですが。それは社長が何歳くらいの頃の話でしょうか。社長 そのような経験をしたのは25歳くらいの頃の話であったと思います。もう一つ申し上げたいことがあるのですが、私は、学生さんたちに基礎勉強をしっかりやって欲しいと思います。基礎勉強をしっかりすることが、このような発想に通じるのではないかと思うのです。また、基礎勉強したことを1パターンだけではなく、他のところも見て考えてもらいたいです。たとえば、180度違った角度から見て、後ろから見えたことも含めて考えたらこうだったという考え方をして欲しいのです。村山 それだったら他の方にも参考になるかもしれませんね。栗原 自分の専門分野の基礎勉強をしっかりやるということですね。社長 その通りです。話は変わりますが、ゴルフでは18ホールをティーグランドからグリーンを目指して回ってきますが、あれを逆にグリーンからティーグランドに向かって回っていくと如何に簡単かがわかるのです。ゴルフ場を設計する人は、グリーンに向かって攻めていくのが難しくなるように考えているのです。それを逆から攻めてみると、つまらなくなってはしまうのですが、とても簡単なコースになるのですね。そういう発想、目の前のものをただ単純に流してしまうのではなく、そういう見方ができるかどうかが重要です。栗原 今までの常識に捉われず、いろんな角度から見てみるということですね。見方を変えてみたら、非常に簡単だったということもあるということですね。村山 よく俯瞰的、複眼的に見てみたら、違って見えたということが言われますが、それに近いことでしょうか。結局、基礎ができているから、見方を変えたり、組み合わせたりする発想ができるのですね。社長 そのような発想を身に付けることができるのは、学生の時なのです。学生の時は時間もありますし、遊んでいながら、そういうことが考えられるのです。今では、いたずらという言葉は忘れられていますが、いたずらをするというか、遊び心を働かせた発想ができるかどうかが重要です。たとえば、私は、磁気処理された切符ができたときに、切符の裏に砂鉄をつけて自動改札機へ通したらどうなるのか、実験してみようかなどと考えていました。儲けに左右されずに仕事に打ち込む熱意と遊び心が大切村山 社長から同業の経営者の方を見て、こうしたら良くなるのにと思うことはありますか。また、社長から見てどこが社長と違うのでしょうか。社長 そういう人たちは、何と言いましょうか、熱意がないのです。私は、仕事を楽しんで遊び心を働かせてみたい、いたずらをしてみたいという気持ちがあるから、無我夢中で一生懸命に熱意を持って仕事に打ち込みます。通り一遍のやり方しかしない人は、目の前にニンジンがないと動かない人なのです。印刷業界は厳しいと言われますが、逆に今はチャンスだと思うのです。不要なものはなくなりますが、付加価値をつければまた必要になります。たとえば、新聞折り込み広告のスーパーのチラシにナンバリング(連番数字)印刷して、その番号で景品を差し上げることにします。そうすれば、必ず広告を見るようになります。ネットで発表すれば、主婦がネットでそのような記事を見つけるたびに番号を打った広告を探すようになります。ネットと印刷媒体の広告の融合です。どこかのスーパーで成功すれば、皆さん真似してやるようになると思います。技術的には簡単にできることなのですから。そのような遊び心のあるいたずらな発想は学生のときであれば持ちやすいと思うのです。栗原 そのような柔軟で遊び心のあるいたずらな発想と名刺データ入稿印刷データの加工

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