中小企業支援研究vol6
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中小企業支援研究 別冊 Vol.613は間断なくお応えし続けます。概ね16~17時にはご自宅での夕飯のためと思われますが2回目のお持ち帰りのピークがあります。特にこの時間帯にお持ち帰りをお求めになるお客様は、当店でお勧めするご提供方法ではなくもっと手軽な作り方を工夫していらっしゃる方が多いようです。店としてお客様にご提供する商品はあくまでも店内と全く同じものを続けますが、今はお客様のお持ち帰り後の召し上がり方はお一人お一人のお客様が望むように、と考えています。夜は19時に閉店しています。閉店時間が早いのは、翌日に麺を残さないためです。毎日の完売が、翌日の新品の麺のご提供につながり、翌日の営業開始時点の品質確保と何よりのアピールになると考えております。石田 休日と平日で違いはありますか。野口 週末はお昼に店内でお召し上がりいただいてからご家族で外出される方が多いようです。土日祝は平日より1時間早く18時に閉店させていただいております。前田 店舗内の配置はいかがですか。野口 現在は全て椅子席で60席あります。平成22年の全席椅子席への転換前は席数にして3分の1が座敷席でした。能舞台をイメージした座敷席は、ご家族連れの方に好評でした。座敷席はお子さんが多少走り回ったり、寝てしまったりしても安心の席配置だと考えていましたが、最近では、特に年配のお客様の支持を失い利用率が下がっていましたので、改装の際に思い切って、全席椅子席に変更しました。1日当たりの食数は昨日の日曜日で約600食、そのうちのやきそばは200食です。従業員は15名、うち8名が社員で、厨房担当は5人です。店内向けの調理場の奥にお持ち帰り専用の調理場を設けました。ホールの接客担当の人も、忙しいときは自然と厨房に加わってもらえ、助かっています。私もそういう協力し合えるような雰囲気作りを心掛けています。石田 インターネットでの通信販売はどのような状況でしょうか。野口 インターネット通販については、利益を計上するほどには達しておりません。結局、当店をご存じの方にしかお買い求めいただいていないと感じています。しかし、当店の存在を告知する情報提供手段として続けていこうと思っております。前田 通販でも昔ながらの商品の香りは再現できていますね。野口 「何十年ぶりに来たけど何も変わってない。よかった!」といっていただける、この言葉を当店は大切にしています。石田 従業員さんについてはいかがですか。野口 最近年配の方のグループ来訪が更に増えました。そのようなお客様にとって、今時のラーメン屋さんは入り辛いのかもしれません。そうしたお客様との積極的な世間話、コミュニケーションを重ねてゆきたいと考えております。その意味で、当店は本当にいい従業員に恵まれていると思います。仕入業者さんが当店の従業員について「明るくていい」と褒めてくださるのも本当にありがたいですし、ガス会社は地元密着の業者さんなのですが、その方から「あんたの店に行くのが一番気が楽」と言われたことがあり、うれしかったです。石田 奥様も一緒にお仕事されていますね。野口 はい。結婚当初は妻がお店の中で誰よりも一番若い女将になってしまうことに心配がありました。すでに出来上がった店に入る際に、妻は経験も浅く、経営者層としての立場でもあり、そして何よりスタッフと仲良くやらないといけない立場になり、大変な苦労をしただろうと思っています。最近は世代交代が進んでいるのですが、妻は若年層の従業員に対する情報伝達と、ベテラン従業員への同じ内容の再確認の中核を担ってくれています。そもそも、うちの商売やうちの店を分かった上での結婚だったのがよかったと思っています。経営者側のチームワークが悪いとスタッフは絶対に付いてきてくれませんが、妻はその役目を十分果たしてくれていると感謝しています。前田・石田 本日は大変貴重なお話をありがとうございました。■企業概要企業名………有限会社不二屋食堂所在地………三重県松阪市中町1900番地資本金………3,000千円創 立………昭和36年業 種………中華料理店年 商………1.1億円従業員………15名(パート含む)店 舗………本店■インタビュア:前田進…千葉商科大学大学院商学研究科客員教授(株)マネジメントコア代表取締役■アシスタント:石田知行…千葉商科大学経済研究所客員研究員中小企業診断士・特定行政書士お持ち帰り焼きそばの製作和気あいあいの従業員と若女将(右)左より石田、野口社長、前田

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