中小企業支援研究vol6
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中小企業支援研究 別冊 Vol.617そこで、今後は、可能な限り当社の機械で切断された素材が、商品のどの部分で利用されているかについてのPRを行い、皆様の生活において、「身近な製造メーカー」として、認知していただけるように情報の発信を行いたいと考えています。この情報発信が上手くいくことで、例えば、従業員が、自分の子どもに担当している仕事について、具体的な話をすることができるようになると思います。そして、自分の仕事が、身近な生活に役立っているという実感を持つことができるようになり、いままで以上に、仕事に対するプライドを持つことができると思います。その結果、当社への愛着・帰属意識も、さらに高まるようになると思います。「身近な製造メーカー」としての認知度が向上することで、将来的には、当社への入社を希望する未来を担う若手の応募も増えると考えています。沼口 情報発信について、検討されている取り組みはありますか。荻野副社長 社内で検討中ですが、インターネットでのPRを考えています。訴求力が高く、口コミ効果が期待できる動画の活用を考えています。最近、知り合った情報配信のプロからアイデアをいただき、当社の機械を利用して様々な素材を切断し、閲覧していただいた方が、どんな商品に利用されているのか、イメージを持っていただけるようなコンテンツを作り、配信したいと考えています。沼口 副社長は、異業種交流会にも積極的に参加されていますが、どのように、人脈をいかされていますか。荻野副社長 異業種交流会に参加させていただくことで、多くのことを学ぶ機会をいただいております。様々な業界の方とお会いすることで、いままでにはなかった新しい発想で、ビジネスチャンスにつながるアイデアが浮かぶこともあります。当社より、企業規模の大きい代表者の方とお会いし、お話をすることで、事業の成長・拡大のために必要なこと等、具体的なイメージを持つことができるようになりました。また、不足する当社の経営資源を補完していただける協力企業とも会うことができ、アライアンスも検討しています。今後も、異業種交流会に積極的に参加し、当社にとってプラスとなる「偶然の出会い」を大切に、事業の持続的な発展に努めたいと思います。沼口 国内市場が縮小するなかで、いま、気になる海外市場はありますか。荻野副社長 中国市場とインド市場です。当社の機械で切断される素材の多くが、自動車等に利用されていることから、国内市場が減少するなかで、とても魅力的な市場だと感じています。特に、「ゴム」の切断は、素材の品質管理のうえでも、現地で行うことが必要となります。当社は、中国市場には進出していますが、まだ、インド市場については、未着手となります。先ずは、ジェトロ(日本貿易振興機構)や、当社と取引のある商社経由で現地の情報を確認し、今後の進出について社内で検討したいと考えています。2代目から3代目へ引き継がれるバトン沼口 2019年10月に創立60周年を迎えられますが、次の70周年に向けての豊富をお願いします。荻野社長 今後は、副社長に、経営を任せようと考えています。副社長を社長に据えて、私が会長として社長をサポートする組織体制にし、事業のさらなる発展を目指したいと考えています。荻野副社長 私が社長に就任した際には、職場の安全を第一に、いままで以上に、従業員が安心して働ける環境を追求し、創業者の想いを受け継ぎながら、従業員の「声」と「心」を大切に、従業員第一主義で、経営理念を進化させたいと考えています。今後は、仕事の9割が通常業務で、残り1割がいままで取り組んだことのない仕事にチャレンジする組織文化を醸成し、従業員のモチベーションを大切にしたいと思います。そして、当社の組織文化に賛同してくれた若い従業員を積極的に採用することで、組織の活性化につなげたいです。沼口 本日はありがとうございました。■企業概要会社名………株式会社荻野精機製作所本社所在地…埼玉県蕨市北町3-7-19資本金………3,000万円創業…………1960年10月事業内容……自動切断機の製造販売・部品加工従業員………30名■インタビュア:沼口一幸…千葉商科大学経済研究所客員研究員中小企業診断士5Sを徹底した工場

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