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8特 集変化の時代を生き抜くFinTech活用46 2017年5月26日、銀行法等の一部を改正する法律(同年6月2日公布、以下「改正銀行法」)が成立し、電子決済等代行業者2(以下「電代業者」)に対する登録制度の導入、電代業者の金融機関との契約締結義務、金融機関における電代業者との連携・協働に係る方針の策定・公表等のオープンイノベーション3の推進に係る措置が整備された。 今回の改正銀行法は、電代業者が金融機関のシステムにアクセスするための方法である「API」について、その利活用を推進するための法律であり、金融機関が、フィンテック企業等にAPIを提供し、顧客の同意に基づいて、金融機関のシステムへのアクセスを許諾するための取組み「オープンAPI」を促進していくものである。そのうえで「API」は、「オープンAPI」を推進していくためのキー・テクノロジーとして位置づけられている。 以下の内容については、2018年7月7日(土)に開催された千葉商科大学経済研究所主催公開シンポジウムの講演内容を基に、「千葉銀行のオープンAPIの取組み」について紹介する。デジタルバンキング戦略1 千葉銀行(以下「当行」)は、第13次中期経営計画「ベストバンク2020 Final Stage-価値共創の3年」において、デジタルバンキング戦略を掲げ、社会全体の「デジタル化」に対応し、2020年をターゲットに「デジタルバンキング」へのシフト実現を目指している。(図1参照) 具体的には、「行員のデジタル化」「業務のデジタル化」「サービスのデジタル化」に区分し、それぞれの施策を実施している。 まず、「行員のデジタル化」ついては、役職員の意識改革からスタートした。スマートフォンが急速に普及するなかで、当行もスマートフォンによる銀行サービスの展開を検討しているが、数年前までは、役職員がスマートフォンを所有・活用していないことがあった。「まずは行員で」という思いから、営業ツールにスマートフォンやタブレットを積極的に活用する等、役職員自身がデジタル化に対応していく意識を醸成した。また、本部の担当者間、営業店から本部への問い合わせ等の行内コミュニケーションは、従来、電話が中心であったが、ビジネスチャットを導入した。ビジネスチャットの導入により、現在では、連絡相手の業務をオープンAPI1への取組みについて株式会社千葉銀行 経営企画部 フィンテック事業化推進室 副室長関谷 俊昭SEKIYA Toshiakiプロフィール2001年4月千葉銀行入行県内営業店3ヶ店勤務したのち、2008年12月より商品企画部門に勤務。2015年12月より経営企画部フィンテック事業化推進室へ異動し現在に至る。2016年7月に設立したT&Iイノベーションセンターの初期メンバーとして、銀行と兼務の立場で従事する。1 Application Programming Interfaceの略。APIは、「あるアプリケーションの機能や管理するデータ等を他のアプリケーションから呼び出して利用するための接続仕様」である。2 決済指図伝達サービスと口座情報取得サービスの2つに分類され、決済指図伝達サービスの事業者はPISP(Payment Initiation Service Provider)、口座情報取得サービスの事業者はAISP(Account Information Service Provider)と呼ばれている。3 自社だけでなく他社や大学、地方自治体、社会起業家など異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウ、知識などを組み合わせ、革新的なビジネスモデル、研究成果、製品開発等につなげるイノベーションの方法論。特 集変化の時代を生き抜くFinTech活用

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