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3046 このような問題に直面し、弊社は先に記した通り、起業から数か月という早い段階で、業界でも他に類を見ない先進的な決断であった「派遣型のみ」という経営モデルを選択した。以後、地道な、まさに草の根的な営業活動において、「派遣型整体モデル」への理解を一つひとつ頂戴して、各ホテル担当者様との契約交渉を重ね、今日まで信頼と実績を積み重ねることに尽力してきたのである。「派遣型整体・経営モデル」の正しい普及に向けて ここでは、経営拡大の枢軸と相成った「派遣型整体モデル」営業において諸段階で見えてきた課題とその克服について記したい。 まず、未だ確たる実績を持たない初期段階においては、契約数拡大への一番の壁となっていた重大な懸念が一つあった。本当に根源的でシンプルだが、それだけにまことに大きな、大きな懸念であった。 「提携先企業様から弊社の事業内容への“正しい理解”を頂けるかどうか」この一点である。つまり、如何にしていわゆる「温泉あんま」的な、旧態依然としたホテル整体のイメージを壊し、弊社の目指す「ホスピタリティを備えた、ポジティブな技術者集団(人財)による、整体という価値あるソフトコンテンツ提供」への理解を勝ち取るか。弊社の命運をかけた営業への取り組みは、この見上げるような大岩との格闘の日々として開始された。 戦後の復興期から数十年間、全国的に、温泉地を中心とする旅館やビジネスホテルで続いてきた旧来タイプの「常駐型派遣整体業」への固定概念は強く、一朝一夕に、容易に打ち崩せるものではなかった。 しかし、こうした固定概念を知らず知らずに抱えている営業先となるビジネスホテル・旅館の事業所様の中には、同時並行して、「常駐型派遣整体業者様」との契約上の限界にも悩まれている方が大変多いこともまた、矛盾を含んだ現実としてあった。 その限界とは、主に、長年契約を結ばれてきた業者様の施術者の高齢化、後継者不足などによる相次ぐ廃業によって訪れつつあった、「既存サービスの継続困難」というケースであった。 我々は全社一丸となって、こうしたありとあらゆる事業者様の声を汲み取り、細やかで専門的な情報を含むフィードバックを一社、一社、膝を詰めるようにして、常に丁寧で明確に示せるように努めてきた。筆者も、資料の入ったタブレット端末やファイルを抱きかかえながら、いつしか愛車の電動機付自転車がぼろぼろになることも構わず、今日は浅草、明日は大森と、なりふり構わず駆けずり回る日々を続けたのである。 そうした日々の中で弊社が一貫して訴え続けてきたことが何点かあるので、具体例を挙げていきたい。 まず、1点目はリスク管理への取り組みである。同業他社様を念頭に、常に弊社のほうがより良いものを、という気概で、深い理解に基づいた具体的な対処を執り行っていけるよう、安全についての厳しい社内コンプライアンス、免責事項の組み込みを徹底した。無論、発信にこそ力を入れ、浸透してきたからと言って決して手綱を緩めることなく、日々、進化し続けるわかりやすい資料作りに努めてきた。そして、この努力は当然ながら、現在も継続中である。これは、目指す価値創造への何よりも必要な「信頼獲得」への取り組みである。 現場レベルでは、「業務委託先様も含むすべての施術者の保険(施術・施設)加入。→顧客、施術者、ホテル様のリスク減少」など、実効的な対応策を継続して行っている。 2点目として、弊社オリジナルメニューの提案に尽力してきたことである。特に、今までの常駐型派遣整体業では見落とされがちであった、F1、F2層への強いアピールポイントを持つコースメニューの創造、浸透にはまさに粉骨砕身の思いで取り組んだ。特に週末、連休など観光目的での都心部への女性客が増加するタイミングへのスポットも含め、「レディースプラン」「カップルプラン」「宿泊セットプラン(アロマセラピー、フットリフレ)」など、今までになかった斬新かつ多彩なメニューの提案と、これらのマーケティングモデルの丁寧な説明には特に時間をかけた。 結果、弊社と契約して、これらのプランを導入いただいた事業者様の実に7割強が、弊社との契約で初めてこうしたプランに取り組まれることになり、しかもほぼすべてのメニューにおいて、非常に売れ行き好調、という嬉しいフィードバックをいただくまでになったのである。 3点目として、外部業界関連団体、議員連盟、業界関

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