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947特 集SDGS最前線⑷SDGsの「主流化」今後、SDGsはあらゆる国際機関で踏襲され「主流化」が進む。激しいグローバル的変化の中、ESG投資家をはじめ、取引先、消費者などの関係者からの注目が高まっている。企業はこの動きに的確に対処する必要があり6方面が重要だ。1ESG投資が加速し事業会社にはSDGsの実践を求めている。投資ではSDGsとESGが表裏の関係で捉えられている(後述)。2これに加え、取引の大きなプラットフォームを提供する企業(流通大手、基幹製品大手企業、大規模プロジェクト推進企業など)がSDGsを大きく打ち出し始めた。これら企業との取引にはSDGsが必須になる。3自治体でもSDGs未来都市が政府により29選定された。4さらに、五輪の調達・運営のルールでもSDGsが基準として明確に打ち出され、政府は「SDGs五輪」と言っている。大阪招致が決まった2025年万国博覧会でもその主たる目的はSDGsの実現への貢献である。5大学、消費者、NPO/NGOの勉強会もひっきりなしにある。特にミレニアル・ポストミレニアル世代の反応が早い。6メディアでも、例えば、日経新聞のESGやSDGsに関するフォーラム、朝日新聞のSDGsへの取り組み、国連のメディアパートナーとなった日刊工業新聞社の活動などが加速している。以上の中で、特に1のESG投資の加速を注視すべきである。ESG投資は、2006年の国連責任投資原則(PRI)の提起がきっかけである。これ以降、PRIへの署名機関の数が急速に増加し、投資額も相当に増えている。図表5 ESG投資の増加日本でのESG投資の加速要因の一つが、運用資産額約160兆円という世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年9月にPRIに署名し、ESG投資の推進を明確化したことである(図表5)。GPIFでは、PRIへの署名とSDGsをリンクさせ、ESG重視が良質な投資機会の増加につながり、事業会社がSDGsを事業機会の増加にもリスク回避にも使って競争優位につなげることを推奨している(図表6)。このように投資家と事業会社の間のWin-Win関係を築くためにはどうすればよいか、こういうことが今のポイントになっている。日本では投資サイドがけん引し、経済界ではESGと裏腹の関係でSDGsが話題になっているのが現下の特徴である。

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