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1247特 集SDGS最前線2017年12月に、第1回「ジャパンSDGsアワード」が発表され、記念すべき第1回の受賞者は次のとおりである。・SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞:北海道下川町・SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞:NPO法人しんせい、パルシステム生活協同連合会、金沢工業大学・SDGs推進副本部長(外務大臣)賞:サラヤ株式会社、住友化学株式会社・SDGsパートナーシップ賞(特別賞):吉本興業株式会社、株式会社伊藤園、北九州市、公益財団法人ジョイセフ、国立大学法人岡山大学、江東区立八名川小学校続いて昨年12月には第2回受賞者が選定された。・SDGs推進本部長(内閣総理大臣)表彰:株式会社日本フードエコロジーセンター・SDGs推進副本部長(内閣官房長官)表彰:日本生活協同組合連合会、鹿児島県大崎町、一般社団法人ラ・バルカグループ・SDGs推進副本部長(外務大臣)表彰:株式会社LIXIL、特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS、会宝産業株式会社・SDGsパートナーシップ賞:株式会社虎屋本舗、株式会社大川印刷、SUNSHOW GROUP、株式会社滋賀銀行、山陽女子中学校・高等学校地歴部、株式会社ヤクルト本社、産科婦人科舘出張 佐藤病院、株式会社フジテレビジョン⑵企業価値の向上に直結SDGs経営で重要なポイントは、本アワードの評価基準である、①他にも応用が利く普遍性、②すべての人を取り残さない包摂性、③関係者を結集する参画型、④経済・環境・社会の三要素を含める統合性、⑤透明性と説明責任の5項目である。これは国連のSDGsの原則と符合している。受賞企業についての5項目の検証結果が参考になるだろう。住友化学は、アフリカでのマラリア防止の「オリセット®ネット」事業を通じて、目標3(健康な生活)のみならず、雇用、教育、ジェンダーなどの幅広い分野で、経済・社会・環境の統合的向上に貢献。最近では全事業を通じて全社員で取り組みインナーブランディングに使っている。このように、大規模でなくても、各企業はこれを参考に自社の技術をどう生かせるか考え推進することが期待される。もちろん、国内課題にも応用できる。特別賞の伊藤園は、世界のティーカンパニーを目指して、「茶畑から茶殻まで」一貫して、茶産地育成事業や茶殻リサイクルなどでSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」などに貢献している。バリューチェーン全体にSDGsを紐付けるうえで参考になる。⑶進展するSDGs経営「SDGsアクションプラン2018」及び「同2019」では、日本の「SDGsモデル」の3本柱として、①「Society 5.0」SDGs、②地方創生SDGs、③次世代育成SDGsが掲げられている。「Society 5.0」の事例では、ICT企業のNECネッツエスアイ社の代表的なソリューション「エンパワードオフィス」(EmpoweredOce)がある。IoTやAIを活用した新しいテレワーク勤務制度を導入し、目標8「働きがいのある職場づくり」で働き方改革に寄与する。この解決策を顧客との目標17「パートナーシップ」でつくる。同社は共有価値の創造(CSV)の社会課題解決型企業であると、有識者として参加したダイアログで感じた。SDGsの目標は相互に関連しているので、会社の強みを活かす、いわば、「梃(テコ)の力点」が働くキーポイントという意味で「レバレッジポイント」を見つけることが重要である。同社では、目標9(産業と技術革新の基盤)の技術革新がそれにあたる。地方創生SDGsでは、政府は「SDGs未来都市」を29指定し、うち10自治体に交付金を出す。今後、企業も本業力を駆使して参画しビジネスチャンスをつかむべきである。このように、各企業・団体が本業を生かしたSDGs経営を本格化させている。これらの事例では、企業ブランディングとインナーブランディング(社員モチベーションの向上)につなげ、内外で評価を高め企業経営にSDGsを生かしていくべきだ。ひとづくり革命は政府の「骨太の方針2018」でも重要な項目だ。初等~高等教育に加え、より長いスパンで学ぶリカレント教育の重要性が高まり、人生100年時代を見据える。教育を担う大学でも「SDGs経営」の考え方で差別化・ブランド化が求められる。

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