view&vision47
15/84

1347特 集SDGS最前線創立90周年を迎えた千葉商科大学では、再生エネルギー100%大学を宣言し、学長プロジェクトのSDGs特別サイトを作り政府のSDGsアクションプラットフォームとリンクを張っている。同大学の創設者の遠藤隆吉博士は高い倫理観を持つ「治道家」の育成を掲げている。「治道家」とは、今日的な意味ではSDGsに取組み、エシカルでサステナブルで事業収益を追求する「高徳の実業人」を意味するとしている。大学発のSDGs先進事例となって目標12「作る責任使う責任」目標7「エネルギー」目標13「気候変動」をはじめ、目標4の「質の高い教育」や目標11の「持続可能なまちづくり」にも貢献していくことが期待される。今後「レガシー」形成につながる次世代育成は大学の重要な役割である。日本の「SDGs経営モデル」への展望6⑴文化レガシーの形成へ:ポルトガルに学ぶ大学が関与するまちづくりといえば、先日訪れたポルトガルの大学都市コインブラは大学の中に世界文化遺産がある。コインブラ大学は13世紀に創立、ポルトガルの名門大学だ。コインブラの男子学生によってのみ歌われる「学生ファド」がある。ファドは伝統の民族音楽であり、2011年に無形文化遺産になっている。歌のテーマは郷愁や哀しみでポルトガル語で「Saudade(サウダーデ)」という。コインブラの学生ファドはリスボンのファドとは異なり、陽気な恋の歌が多い。ファドの学生がまとう黒いマントは、ポルトガル語ではcapa=カパと呼び、日本の時代劇に出てくる渡世人さんがまとった「かっぱ」は、これが語源だというから興味深く、日本とのつながりはカステラだけではないようだ。ポルトガルはかつての栄光だけで生きているのではなく、力強いレガシーのまちづくりへのエネルギーを感じさせた。人口は1000万人ちょっとであるが、過去のレガシーを現在に活かし始めている。また、1755年のリスボン大震災から復興のまちづくりを成し遂げたモデルでもある。無形文化遺産では、昨年11月には日本にとっての朗報が届いた。23日の大阪万博決定に続いての29日のユネスコ無形文化遺産にナマハゲなど8県の「来訪神」の登録が決定した。ユネスコの政府間委員会は無形文化遺産に「男鹿(おが)のナマハゲ」(秋田県)など8県の10行事で構成される「来訪神(らいほうしん)仮面・仮装の神々」を登録することを決定した。SDGsとしては目標11「住み続けられるまちづくり」と目標4「質の高い教育」、そして目標17「パートナーシップ」などに直結する。写真 ポルトガルの大学町コインブラ(筆者撮影)

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る