view&vision47
28/84

特 集SDGS最前線2647 運用は、従来の集中型電源を重視する一方、政府は送電システムの運用改善に取り組みつつある。さらに、太陽光発電システムの低価格化が、送電システムへの負荷を減らす可能性が出ている。 法律から見ると、土地利用規制や環境影響評価制度が不十分で、事業に対する反対意見が各地で発生している一方、国や自治体では対策を講じ始めている。 社会から見ると、自然エネルギーの経済的便益及びSDGsが重要になるとの認識が、十分に普及していない一方、近年、各地で地域主導型自然エネルギー事業が生まれている。さらに、政府は2018年、29自治体をSDGs未来都市に指定した。とりわけ、影響力のある先進自治体は、SDGsの促進と地域経済の活性化を両立させるため、自然エネルギーを重視している。 以上のとおり、政治、技術、法律、社会それぞれの面において、パリ協定とSDGsに対する障壁が存在するものの、自然エネルギーについては、政府、自治体、経済界、市民が、共通して普及に努力しており、パリ協定とSDGsを実現するカギとなる。 これら地域と調和した自然エネルギー事業や自治体による持続可能な地域づくりは、広範な人々の支持と参加により、日本でのSDGsの取組みを着実に実体化するものである。なぜならば、図表2のメカニズムにより、環境と経済の相乗効果が地域にもたらされるからである。よって、これらの事業や地域が、SDGsを実現する上で、極めて重要になると考えられる。結論6 本報告の結論は、日本が直面する矛盾を乗り越え、パリ協定とSDGsを実現するカギは、自然エネルギーであるというものである。 政治から見ると、政府と経済界の首脳は石炭火力発電と原子力発電が日本に不可欠と信じる一方、自然エネルギーの普及を真正面から否定する政策決定者はいない。さらに、自然エネルギーについては、経済界から主導する動きが生まれている。 技術から見ると、送電システムに関する政策や設備図表2 エネルギーと地域経済の関係(自然エネルギー財団「地域エネルギー政策に関する提言」より転載)

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る