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2747特 集SDGS最前線はじめに1木更津市消費生活センター(以下当センター)では2017年より「ACTION! SDGsプロジェクト」を開始し、様々な取り組みを行っている。本稿では、当センターが行った取組事例を紹介することで、地方行政の一機関である消費生活センターが国連で採択されたSDGsの達成に積極的に貢献できることを示したい。消費生活センターは消費者安全法によって都道府県には設置義務、市町村には設置努力義務が課せられた公的な消費生活相談の窓口である(第10条)。消費者基本法(第2条)の基本理念に掲げられている消費者の権利(「消費者の安全の確保」、「商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保」及び「被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されること」)の実現を図る上で極めて重要な役割を果たしている。「悪質商法の相談窓口」として認知されている消費生活センターだが、業務の内容は幅広い。現在、当センターでは国家資格を有する相談員が日々市民から寄せられる消費生活相談に対応するだけではなく、様々な企画を立案し、市民に向けた消費者啓発事業を行っている。しかし、現在に至るまでの道のりは決して順風満帆なものではなかった。当センターは1980年に設置されたが、設置から長期にわたり相談員の確保に苦慮し、安定した相談体制を敷くことが困難な状態が続いていた。2009年、当時の消費者行政担当職員が、消費者庁設置に伴い創設された地方消費者行政活性化基金を活用して全国でも珍しい「消費生活相談補助員制度」を導入した。この制度は「市民から消費生活相談員を育てることにより、市に安定した相談体制をつくる」というものだった。つまりSDGsと同じ「持続可能」という理念を持った体制作りがスタートしたのだ。歴代職員、先輩相談員、現在の相談員が当センターの体制を模索してきた結果、相談員4名が1日3人体制で市民からの消費生活相談に対応するだけでなく、積極的に消費者啓発を行うことのできる現在の体制が形成された。このような背景を持つ当センターが「持続可能な世界をめざすSDGsの推進を積極的に行っている消費生活センター」として諸団体から注目されるようになった。これはSDGsが理念として掲げる「持続可能」を目指した取り組みが成果を上げることを示す実証といえるだろう。木更津市の取り組み2まずは当センターが積極的にSDGsを推進するにあたって、好条件となった木更津市の取り組みを紹介する。オーガニックなまちづくり木更津市は「オーガニックなまちづくり」に全市を挙げて取り組んでいる。「オーガニックなまちづくり」とは「人と自然が調和した持続可能なまちを次世代に継承する」ことを目指す取り組みで、「持続可能な未来を創るため、地域、社会、環境等に配慮し、主体的に行動しようとする考え方」をまちづくりの視点としている。木更津市消費生活センター発「ACTION! SDGsプロジェクト」によるSDGsの推進木更津市消費生活センター消費生活相談員橋口 京子HASHIGUCHI Kyokoプロフィール京都外国語大学外国語学部イスパニア語学科卒業2017年(公社)消費者関連専門家会議「第33回ACAP消費者問題に関する『わたしの提言』論文において「内閣府特命担当大臣賞」受賞特 集SDGs最前線

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