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3247特 集SDGS最前線にSDGsに取り組む様々な団体との交流が生まれている。今回の千葉商科大学経済研究所の機関紙への寄稿をはじめ、現在は地方消費者行政強化交付金を活用した淑徳大学コミュニティ政策学部消費者法研究室(日野勝吾准教授)との「『食』を通じたエシカル消費から持続可能性を学習する市民向け事業」(2019年1月26日開催)、消費者団体である消費者行政充実ネットちば(事務局長 拝師徳彦弁護士)との『市町村消費者行政の体制強化と地域連携ネットワーク構築に向けた啓発事業』を進めているところである。SDGsの取り組みにより、消費者安全法(第11条の3)における「消費者安全確保地域協議会」発足の足掛かりが生まれたことになる。このように、トップダウン型だけではなく、消費生活センターによるSDGsのボトムアップ型の取り組みが、消費者行政の体制作りを促進できる新たなチャンスとなり得るといえるだろう。その他にも、2018年度当市が幹事市となっている千葉県市町村人権施策連絡会から依頼を受け「人権問題の解決にSDGsの視点を取り入れよう」という内容の講演を担当者対象に行った。また、前述した目標15に関連する緑化推進事業においても、市内小中学生に向けたSDGs周知のためにアイコンポストカードを作成し、若年層への啓発に取り組むことになった。このポストカード作成には消費者行政担当職員が積極的に関わっている。SDGsを介したこのような職員の意識の変化こそが、当センターが目指すいわゆる「タテ割り行政」の解決に大きく貢献していくものと考える。当センターのSDGsへの取り組みは研究対象にもなっており、当センターでは視察の受け入れも行っている。これまでに大学関係者の来訪を受け、当センターの取り組みや庁舎窓口に掲示されたSDGsアイコン、当センターの掲示や相談員が手作りしたSDGs啓発グッズなどを紹介し消費生活センターで可能なモデル事業を発表する機会を得ている。また、3章1.で紹介した当センター作成の小中学生向け教材については、オープンソース方式12を取り入れ、編集可能なファイル形式で無償提供している。小中学生用として作成した教材だが、これまで企業の研修や高等学校における授業での使用に加え、他県の消費生活センターからも依頼を受け、教材提供を行ってきた。「SDGsの導入として、分かりやすい教材だ」といった評価が寄せられている。このような活動を積極的に発信してきた効果もあり、本センターのSDGsの取組事例を様々な消費者関連機関へ寄稿する機会にも恵まれている。13多様な「教育」を包摂する「SDGs教育」5消費生活相談を通して、我々相談員は“消費者教育”の必要性を切実に感じる場面に多く直面する。消費者教育の推進に関する法律(以下推進法)では消費者市民社会が定義され、「消費者市民社会とは、消費者が個々の消費者の特性及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会をいう」(第2条第2項)という基本理念が掲げられた。さらに推進法の施行と併せて定められた消費者教育の推進に関する基本的な方針(2013年6月閣議決定 2018年3月20日変更)においても、消費者教育の意義を「自立した消費者であるためには、まず被害にあわない消費者、合理的意思決定ができる消費者であることが必要であるが、消費者教育は、これに加え、社会の一員として、より良い市場とより良い社会の発展のために積極的に関与するという点でも自立した消費者を育成する教育であるということを意味する」とし、さらに「自立した消費者の育成は、自らの利益の擁護及び増進のための自主的かつ合理的に行動することができる個人を生み出すというだけでなく、健全な経済社会の形成にとっても重要である。消費者の日々の意思決定や行動が、総体として経済社会の発展や持続可能な社会を形成する上で大きな役割を果たすことを認識し、社会の一員として行動する消費者を育成することでもある」とする(下線は筆者)。12 無償公開することにより、誰でも自由に使用できる形で提供すること13 日立コンシューマ・マーケティング(株)機関紙『センターレポート』143号、(公社)消費者関連専門家会議 機関紙『FORUM』241号、(独)国民生活センター広報誌『ウェブ版国民生活』2018年10月号

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