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3647特 集SDGS最前線告書には6つの基本要素(Dignity、People、Planet、Prosperity、Justice、Partnership)といった市民社会でも強調していた要素が盛り込まれた。2015年1月には、120カ国以上1,000を超える団体が参画する市民運動“action/2015”が立ち上がり、各国でSDGsに関心を寄せるようなキャンペーンが展開され、メディアも注目するようになっていった。こうして、MDGs策定時と比較して、格段に市民社会のコミット度が高まったと言えるのがSDGsの特徴の一つと言える。このため市民社会サイドでもオーナーシップが発揮され、SDGs策定当初からも市民社会による普及啓発が盛んに行われていくことになる。SDGs策定後の市民社会の動き2SDGsが採択されて以来、各国・各地で様々な動きが始まっている。国内の市民社会においては、2017年2月一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(略称SDGsジャパン)が発足し、活動をスタートさせた。これは2015年までMDGsの達成に向けて活動した「動く→動かす」、その後の動きとしての「ポスト2015NGOプラットフォーム」や、アフリカ日本協議会、国際協力NGOセンター(JANIC)といった、アフリカ開発会議(TICAD)など主に国際協力に関わるNGOと、筆者の所属団体である環境パートナーシップ会議(EPC)が場づくりなどをしてきたRio+20と2010年の生物多様性条約COP10関連の活動や、2008年洞爺湖サミット、そして2016年伊勢志摩サミットに関わったNGO、日本NPOセンターや周辺のNPOの参加によって生まれた動きである。現在100あまりの加盟団体によって組織され、環境や福祉、教育、ジェンダー、ユースなど、他分野のNGOがコミュニケーションをとりながら、政府との意見交換や国際会議などの機会にNGOの声を届けるなどの動きを作っている。政府が発足させた「SDGs推進本部」での「SDGs推進円卓会議」には3名の市民社会の代表者を送っており、政府が作成した「SDGsアクションプラン」に対して代替案を提示するなどの活動を行っている。また、企業、地方公共団体、消費者団体や協同組合など日本国内の様々なセクターに働きかけたり、各地、各界でのSDGsに関するセミナーや講演会への講師派遣を行い、SDGsをより多くの人々に知らせ、サポートを広げるための取組みを行っている。現在12のユニットと呼ばれる分科会活動も進んでいる。(各ユニットの名称:環境、途上国開発全般・開発資金、障害、ジェンダー、防災・災害リスク軽減、国内貧困・格差、ユース、地域、社会的責任、教育、国際保健、広報 一部準備中を含む)(一社)SDGs市民社会ネットワークのロゴマーク国際的な活動を展開すると同時に、国内へのSDGsの浸透も図るように各地とのネットワーキングを行っている。富山や岡山、四国、東海などではSDGsを推進することを主とした市民社会のネットワークができつつある。前述のような全国的なネットワークで刺激を受け合った各地のキーパーソン、キー団体がSDGsを活用して地域課題を解決していこうという傾向が各地で見られているのが最近の状況といえるだろう。地方公共団体がSDGsに取り組むことが奨励され、政府が「SDGs未来都市」を選定する動きや、グローバル企業や経団連、そして日本青年会議所や協同組合などでも取組みが始まっていることも影響し、各地で多様な主体と連携しているNPOではSDGs取組に拍車がかかっているという状態である。環境パートナーシップ会議(EPC)ではSDGs策定へのプロセスが始まる前後から情報収集と普及啓発に取り組んでおり、関連のウェブサイトの開設、メールマガジンの発行、地域学習会や政府との意見交換会などを開催してきた。2016年度と2017年度にSDGsに関する解説冊子を発行し、2018年度にはSDGs達成に資するような地域事例を映像にまとめたDVDを制作した。これらを講演や研修時に紹介し、各地での普及啓発に努めている。EPC発行のSDGs冊子

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