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3847特 集SDGS最前線SDGs達成に向けた各主体の取組み5各ステークホルダーのSDGs達成に向けたアクションの事例としては、筆者の団体が発効した冊子を参照していただきたいが、政府が主催した「ジャパンSDGsアワード」の各賞を受賞した諸団体についても参考になるだろう。第1回の総理大臣賞は北海道下川町、第2回は日本フードエコロジーセンターが受賞している。市民社会セクターでは第1回にNPO法人しんせいによる障がい者の就労向上、パルシステム生活協同組合連合会による消費行動や女性支援のしくみなどが参考となるだろう。内閣官房長官賞のパルシステム生活協同組合連合会では、価格だけではない社会性や環境面の価値によって商品を選択したり生産者やメーカーと直接触れ合える機会を増やしたり、食料廃棄を減らす活動や女性の多い生協組合員や職員等が民主的かつ実効的に運営している点が評価された。SDGsの活用法としては、地方公共団体や企業との共通言語としてコミュニケーションを図る、社会にある問題の全体像をつかもうとする時に参考にする、などが挙げられる。またその効果としては、取組んでいる活動や関心ごとと他の社会、世界とのつながりが見える、活動に新しさを加味できる、活動のパートナーを増やす機会となる、など想定できる。またSDGsを達成に向けて取り組むプロセスでの学びはESD(持続可能な開発のための教育)として普及されることが期待される。SDGs達成に資する市民社会の動き6国際社会では、ISO26000が、企業だけでなく全ての組織に関わる規格として「組織の社会的責任Social Responsibility」に関して規格として発展し、またそれらの議論をするために、NGO、政府、産業界、消費者団体、労働組合、専門家などによる「マルチ・ステークホルダー」による合意形成のあり方が主流化してきており、それに呼応するNGOもできてきた。「社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)」は、NPO/NGOの自発的な参画と連携を通じて、セクター間の対話を促進し、市民セクターの定着と社会的な位置づけの向上を目指すとともに、あらゆる組織が社会的責任と信頼を高めることを目指し2008年5月に発足した。ISO26000の勉強会、ISO/SRに対する国内委員会や国際会議への参加やSDGs推進のための会合参加など、ネットワークの活動を担っている。1997年の温暖化防止京都会議(COP3)をきっかけに気候変動に関するネットワーク組織「気候ネットワーク」が発足したことや、2010年の生物多様性COP10を契機に「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」が発足するなど、これまで大きな国際会議を契機に、その課題に関連したNGOのネットワークが発足し、その後の活動を継続している。こうした動きも背景にもちつつ、2015年6月にはあらゆる課題に取り組む環境NGOの連合体として、「グリーン連合(Green Alliance Japan)」が発足した。これまで様々な団体が積み重ねてきた経験と英知を結集し、危機的状況にある地球環境を保全し持続可能で豊かな社会構築に向けた大きなうねりを作ろうと目指し、市民版環境白書を発刊したり、環境省との意見交換会を行っている。現在、日本各地の84団体が加盟している。サステナビリティがキーワードの一つに掲げられている2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関しては、持続可能な大会とすることをきっかけに日本や世界の持続可能な社会づくりにつなげるように関係団体や企業に働きかけていくことを趣旨としたNGO/NPOのネットワーク「持続可能なスポーツイベントを実現するNGO/NPOネットワーク(略称SUSPON:サスポン)が2016年に発足した。SDGsの前文には「スポーツも持続可能な開発における重要な鍵となる」と記されていることから、スポーツを通じたSDGs達成に期待を向けている。(一財)地球・人間環境フォーラムが事務局を担い、筆者は副代表を務めている。現在、持続可能な調達や、ボランティア、生物多様性などテーマごとの分科会を設け、提案や実践活動を行っている。またユースの動きも盛んになってきており、SUSPONユースの他、「学生団体おりがみ」などを含む東京2020大会に向けて活動する若者のプラットフォーム「Project Y-ELL 2020」も発足し、活動している。

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