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4247特 集SDGS最前線析結果の共有に寄与してきた(図4)。さらに、先述のUN-ESCAP Environment and Development Division (EDD)およびICT and Disaster Management Division(IDD)との、SDG9、SDG11、SDG14分野におけるSDGs環境・災害観測・分析・可視化・知識共有プロジェクトにおいては、既存の災害リスク情報に社会的・経済的リスク情報を重ねて多角的・多層的に分析する機能や、災害リスクのホットスポットを特定する機能、従来の環境・災害データベースにはない情報源(報道記事や画像アーカイブ等)から追加的な環境・災害データを自動抽出するAI機能等を開発している。図3 5D World Map Systemの概念図図4 環境関連マルチメディア・センサーデータを      対象とした5D World Map System適用例5D World Map Systemの特徴は、IoT・AI・CPSの先端技術を駆使し、(A)対象とするマルチメディア/センサーデータ集合の概要やユーザの意図・記憶を計量・生成する入力システム、(B)対象とする領域とメディアを横断した動的計量・分析システム、(C)対象とする専門領域の大局観を視覚的にユーザに与える出力システムがシームレスに統合・構成される点にある。環境分析といったグローバルな情報の蓄積と大局的分析が必要な複合領域では、環境変化や自然災害の発生している地域でのフィールドワークやリアルタイムかつ大量のデータ獲得が重要であり、本システムは、これらの学際的研究領域における協働構築型マルチメディアデータベースのプラットフォームを提供するものである。5D World Map Systemの学術的な特色としては、学際的環境研究分野の専門知識と情報工学におけるデータベース技術を統合する事により、多面的な内容を含む自然環境に関するマルチメディアデータ群とセンサーデータを対象として、利用者の視点・問題領域と時空間情報の設定に応じた動的な関連性計量と変化量分析・可視化によって、利用者毎の多種多様な解釈とその再利用による新たな学術的メディア・コンテンツの生成を可能とする点にある。また、環境工学研究者や環境政策実務者個人に帰属する高度に専門的な知識、国際環境政策・環境制度・環境倫理等の社会科学・社会ルール設計の分野において蓄積・生成された知識・マルチメディアデータ・分析結果群、および、環境工学、応用化学・物質学、生態学、資源学等の自然科学・工学分野において蓄積された大量のセンサーデータ群を統合的に分析・可視化し、これらを共有知識資源として検索・共有・活用することを可能とする点にある。社会的課題解決における貢献としては、ローカルな環境状況を獲得し(Sensing)、それらを多次元空間の世界地図システム上に蓄積し、地理的、時間的、意味的な次元の操作により、“過去の環境事象”と“現在の事象”(あるいは、“対象地域の事象”と“他地域の事象”)との“類似性、相関性、差異性”の計量により、過去の環境事象との比較における現在環境事象状況の把握と共有、および、過去の事象との比較における次事象の予測(次に発生する環境事象の予測)を行い(Processing)、それらを世界規模の地図上で可視化(警告発信:Actuation)することで、局所的環境事象の共有による世界規模での災害・環境変化分析・可視化および予測を実現する点にある。特に、現在進行中のUN-ESCAPとのSDG9、SDG11、SDG14に関する共同研究プロジェクトの独創性・新規性は、環境変化・災害という現象そのものというよりは、現象が社会全体へ与える影響の「意味」を多次元的に分析・予測する点にある。環境変化・災

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