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4747ましたが、その結果、逆に生コンの価格上昇などもあり、不運と幸運が重なるような予想できないことも起きました。そんな折、後に私の主人となる、現内山アドバンス社長(山一興産会長)の柳内正基が技術部門に入社し、私共が苦手な技術力で、生コンの品質・コストの管理を厳密化し、現場ニーズに応じた供給体制を整え科学的に管理するなど、大いに助けてくれました。その結果、兄、柳内、私のトライアングルで事業を安定軌道に乗せることができました。振り返りますと、苦しい時期のほうが多いのですが、地味にこつこつと改善を積み重ねることで、大手系列の競合が多い中で現在の地位を確立することができたと思います。益のない価格競争に目を向けず、適性価格で理解を得られるよう取引先との関係を大事にしてきました。会社の思いを辛抱強く伝え、あきらめないことが重要でした。生コンはその製品の特性から地域密着型の産業ですから、顧客と接する現場の声を聞くことを大事にしてきました。ミキサー車の運転手を尊重することも大事で、生コンが顧客に届くまでのネットワーク、携わる人と人の絆を大事にしてきました。男性中心の業界でしたが、仕事には女も男もないはずです。女性は現実を直視する能力に優れていると思いますし、非常に辛抱強いので、女性が活躍できる場は少なくありません。兄も会長の柳内も私にさまざまなことを任せてくれました。彼らに褒められるとうれしかったものですからそれを頼りにここまで続けてこられたのです。女性だからと甘えたことはなかったとも思います。ですから、結婚後も家事・子育てと仕事を両立しました。もちろん必死でした。外に出る仕事が好きで、楽しい時も苦しい時も仕事が私を支えてもくれました。家庭円満が重要で、それが基盤となって会社経営があると信じています。ですから社員に対しても、すべての人に気持ちが通じるというわけにはいかなくても、同じ人生を共に歩もうという気持ちで接してきました。男性社会の応援ができる女性の組織づくりを目指してどちらかといいますと、日本においては、男性中心の社会であり、女性は男性の先に立つことは控えるべきであるという慣習が支配していると思います。だからといって、男性中心の社会を潰したいとか、改革したいという考えではなく、そのような社会の中で女性の役割を明確にしなければならないと思うようになりました。このことは、別の側面から申し上げますと、男性社会を応援したい、それを応援する組織を創りたい、ということともいえるかもしれません。女性が、男性社会の中で圧力を感じている、女性が男性の下に置かれていると感じている女性は少なくないと思います。しかし、果たしてそうなのでしょうか。個人個人それぞれの性質が違うように、例外はあるにせよ、概ね、男性と女性とでは、社会に果たす役割が違うと思うのです。ですから、男性社会に対抗することを考えるのは筋違いで、それではむしろ余計な反発を招くばかりです。そうではなく、男性社会を補うことができる謙虚な女性の組織を創りたいと思うようになりました。女性が光り輝くための一般社団法人日本女性経営者協会を設立ご縁があって、私は、本業以外にもいろいろなニュービジネスや団体を立ち上げてまいりました。私財を投じたものもございます。それらのすべての経験を前提に、日本の女性や女性経営者の皆様を応援するための組織を立ち上げることにいたしました。前述のとおり、その趣旨は、男性社会に切り込むといったものではなく、男性と対等に社会を創っていくことができる女性の意識を向上させたい思いです。対男性社会ではなく、女性の意識の改革を目指したいのです。男性社会に生きてきて思いますのは、女性は能力があっても、社会的に認められ柳内家ファミリー  後列:次女ゆり・三女玲子前列:長女えり・夫正基・妻光子

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