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4947ています。ですから女性はもともと忍耐強く、簡単にあきらめることもしないので、しっかりしています。その強さを賢く活かしているのが強い経営者です。男社会で鎧を着て男のようになって男性と張り合うのでなく、女だからこそ持っているその特性を活かして、その心で会社を育てればよいのではと考えるようになりました。お母さんのものの考え方が大事なのです。その意味で、私は、社員は皆、自分の子供だと思っています。企業経営で綺麗な花を咲かすには、根っ子となる社員を大切にすることです。 男性が、男性らしい魅力を発揮して働くには、女性に女性らしく、その本来、備わっている魅力をもって支援していくことが重要と思っています。家族経営の会社でも、親を敵に回して欲に走っている例は少なくありません。私の両親は、父は養子でしたが、仲が良かった。母親は常に父を思い、社会に顔が立つように父を立て、決して反論することもなく、内助の功を果たしていました。その様子から私も多くのことを学びました。私の人生観、経営理念の原点はそこにあるのかもしれません。 女性にも力のある人もいます。女性でしかできないことも多くあります。このような女性を世のために送り出したいと願っています。組織的に活動できる一流の女性を育成したいのです。女性は、猿山のリーダーのような経営者にはなれないと心得ているべきでしょう。男性のことは男性が考える。これまでもそうでした。どのような研究も、産業も男性が中心になって男性らしく考えてきました。戦時中のように大変な苦境の時、急激に経済成長している時などは男性が活躍する時代です。しかし、現代のように、比較的長く停滞が続き、しっかり目配り、気配り、心配りをしなければならない状況下では、女性が力を発揮する必要のある時代だと思っています。男性と同じようにではなく、時代が求める、女性の良いところを、社会に向けて組織的に発信していきたいと思います。そうでなければ女性が認められることはないとも思っています。 女性が女性としての目配り、気配り、心配りをして、男性と対等に、あるいはそれ以上に、男性では出来ないことまで解決している例は少なくありません。そのような意味で女性が業界、組織に堂々と参加して、役割を果たしてほしいと思います。女性であることに甘えない 私は、両親と兄と協力して生コン業界というゼネコンの世界、正に男性社会で生きてきました。だからこそそこで女性経営者として生きることはどうあるべきかを学び育てられました。男性中心の社会では、雌鶏が鳴くと国は亡ぶとまで言われていて、つくづく公平感がないと感じてまいりました。男性の社会は義理と人情でつながった社会ですが、その中では女性は誰でも同じだといった捉えられ方でした。 そんな中で、私は、明治、大正、昭和、平成の人々と一緒になって切磋琢磨し、彼らの生き方を最後まで知り見てきました。ゼネコンの仕事環境は公共事業が中心で、男性社会でした。私が出ていくと女のくせにと差別されることが多かったことも事実です。現在は、男女共同参画社会ともいわれているように女性が世に出る機会が多くなり、そのことが期待される時代になりました。男性社会で鍛えられた女性の私が、女性のために、自分の経験を活かし、女性が女性であることを活かしながら世のためになることを、これからの残された人生の重要な活動の中心としたいと思っています。 しかし、そのためには、女性にいま最も求められる理念がないということをつくづく思います。日々の安定と守りを得意とする女性の特性を活かすためにも、今こそ理念、思い、熱意が大事です。女性も男性社会の中で、鎧を着て戦うのでなく、「女性として持てる魅力を発揮し、より新たな価値を創造する」ことを理念として世のため、人のために貢献することを考えていくことが大事です。そして、自らはそのために、生まれ、生かされていることをしっかり認識していくべきだと思います。 私自身は、これまでさんざん男性社会のために尽くしてきたので、これからは、女性のためにも精一杯尽くしたいと思っています。女性らしい笑顔の絶えない、老いても気品を忘れない、そういう女性らしい女性を育成したいと思います。育てたい女性経営者像 個人としても、柳内光子についてもお話しておきたい

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