view&vision47
53/84

5147はじめに総務省統計局が公表している「平成28年経済センサス 活動調査」1内の「資本金階級別の状況(会社企業に関する集計)」によると、資本金が1億円未満の法人税法で中小企業者と定義される企業は98.2%を占め、弊社もその中に含まれる1社である。上記プロフィールに記載のとおり、大学卒業後に前職まで勤務をした3社の親会社は何れも東京証券取引所一部上場を果たしている大手有名企業であったが、直系子会社とはいえ親会社に準じた規則が多く、何れの企業においてもその規則がビジネスにおける普遍的なものという前提で過ごしてきた。そのような中で親会社の看板(いわゆるネームバリュー)が全く無い企業に勤めたのは弊社が初めての経験であるが、これまで勤務した企業との立ち位置が変わったことによる中小企業が抱える強みと弱み、大手企業などでは決して真似をすることが出来ない底力について、これまでの業務経験を通じて学ぶことが出来た。中小企業におけるオーナー会社の比率は高いと認識するが、事業継承する際の手法としては世襲を行うのが一般的であると思われる。しかしながら、弊社は初代社長以降、歴代社長は世襲ではなく外部からの人材招聘を実施しており、実父である現会長も株式会社日立製作所の自動車機器事業直系子会社役員定年後に弊社へ招聘され第4代目社長として就任。実父が社長在任中に今後の更なる事業発展を見据えた営業強化を目的に、当時 東レ株式会社の直系子会社に勤務をしていた小生を招聘し、創立50周年を迎えた2018年に弊社としては初となる世襲という形で第5代目社長に就任した。大手企業直系子会社の一介サラリーマンからオーナー企業の経営者へ転身した訳だが、社会人になった当初は将来オーナー企業の社長になるとは微塵にも思わず、当然のことながら社長になるための帝王学なども幼い頃から両親に叩き込まれた訳ではない。現在、オーナー企業の経営者ではあるものの、物事全般の判断を下す際の根底には中小企業の経営者に見受けられるようなワンマン的な思考というよりも、どちらかと言えば常に他との兼ね合いを考慮したサラリーマン的な思考をしている自分自身が混在しているのが実情である。だからこそ、色々な面において鮮明に見える部分があるのだろうと小生自身では分析をしている。弊社とほぼ同規模における中小企業経営者の中では少々異質のキャリアを経てきたと認識しているが、これまでの業務経験を通じて感じたことについて率直に述べてみたい。大手企業と中小企業の一番の相違点「大手企業と中小企業の相違点は?」と一言で定義ヒーロー電機株式会社代表取締役社長加藤 弘樹KATO Hirokiプロフィール2001年3月千葉商科大学商経学部経済学科卒業。キヤノンシステムアンドサポート株式会社、日発販売株式会社、東レACE株式会社を経てヒーロー電機株式会社入社。取締役営業企画部長、専務取締役、代表取締役専務を経て2018年3月代表取締役社長就任。2018年5月一般社団法人日本自動車機械器具工業会監事就任。その他、越谷市工業団地協同組合運営委員会委員(現任)。立ち位置が変わったからこそ実感できた 中小企業の「強み」と「弱み」1 総務省統計局(2016)「平成28年経済センサス-活動調査」  https://www.stat.go.jp/data/e-census/2016/index.html

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る