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5347識とされてきた業界のルールを含めた構造変換を余儀なくせざるを得ないまでに差し迫っている。現在、ビジネスの主戦場がこれまでの規模や数にものを言わせた戦艦による海上決戦から、インターネットという名の戦闘機の出現による航空決戦へ移行しており、大鑑巨砲主義を貫いてきた大手企業にとっては、今後これまでにはない相当難しい舵取りを迫られるものと推察する。2.即断即決が可能中小企業(特にオーナー企業)の強みは、即断即決で事業展開を推進することが可能な点である。少数精鋭で運営をしているがゆえに、現場からの貴重な意見(当然のことながら良い情報ばかりでなく悪い情報も含め)が経営者サイドへ迅速に報告がなされ、即断即決により次なる一手を仕掛けることが出来ることには大変魅力に感じている。時代の変化のスピードが更に加速していくなかで、今後の経営において即断即決はより一層必要なものとして求められるものと強く認識する。ちなみに、大手企業などでは1つの事案を決定するのに、経営会議への承認要請や他部署ならびに取引先等への各種調整が発生することは日常茶飯事で、早くて1年~2年、場合によっては数年以上を要するケースが多い。これまで勤務した各企業においても、やはり多種多様の調整が発生し、事業化が正式決定するまでには時間を要すことは多かった。3.こだわり抜いた尖った製品中小企業(とりわけ製造業)には大手企業では費用対効果の観点から参入障壁が高く、且つ類似製品の製作自体が相当困難なこだわりのある尖った製品や、長年にわたるノウハウが随所に反映された門外不出の製造手法を有しているケースが多い、という点が最大の強みであると感じる。弊社製品を一例にして挙げると、自動車用の配線同士を接続する際にアダプターの役目を果たす「ギボシ端子」や、自動車用バッテリー(鉛蓄電池)と車両側の配線を接続する際にアダプターの役目を果たす「バッテリーターミナル」などは、当初より自動車用補修部品専用として設計開発を行うと共に、素材には導電性の高い素材や製品表面のメッキ処理方法など随所にこだわり抜き、プロユースに対応した製品として自動車整備士からの厚い信頼を得ている。以前、とある大手企業において弊社同等製品の開発検討を試みた模様だが、自動車アフターマーケットという限られたパイで、自動車用補修部品というカテゴリーの中では他製品と比較すると単価が著しく低く、且つ製品自体も非常に小さな部品となるため、新規設備投資に対する投資資金回収の見通しが全く立たず、開発検討自体を断念したという主旨の話を商社の担当者より聞いたことがある。今後、中小企業が生き残りをかけた事業戦略の1つとして、大手企業の参入自体が確実に難しい「ニッチ市場」を自らの手で創造し、特有のビジネスモデルを構築することが差別化にも繋がり、ひいては将来における自社の事業展開にも大きく影響してくるものと認識する。中小企業ならではの弱みについて中小企業には大手企業ではない強みがある一方で、企業として総合的に捉えた場合にはやはり弱みが相当多いという点を言わざるを得ない。上述のとおり、これまでにおける小生自身の異なるキャリア、還元すればビジネス上における立ち位置が大きく変わったことにより色々と見えている部分があると自認しているが、特に数ある弱みの中でも中小企業が共通として抱えていると推察される事項について下記に列挙してみたい。1.慢性的な人材不足中小企業の全般的な傾向として、若手社員を含めた新規採用が相当難しいがゆえの慢性的な人材不足に陥っている状況と認識する。また、在籍している社員の平均年齢も年を追う毎に上昇を遂げ、現場ではベテラン社員による経験と勘に基づいた属人的な業務にて事業運営をせざるを得ないのが実態であろう。ちなみに、中小企業におけるベテラン社員の一般的に見受けられる傾向としては感覚的に行動しており、

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