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55471.真の顧客志向企業を目指す前職在籍時に本社勤務全社員対象とした朝礼が毎月初めに開催されていたが、当時の社長より朝礼でことある毎に「業界(もしくは自社)の常識は、世の中の非常識」という訓話があった。これまでの各企業における業務経験を通じて、業界の常識と呼ばれるものは非常に怖い部分があると痛感している。それは往々にして消費者目線ではなく、供給者目線であるということが多いと認識する。供給者にあたるメーカーなどは、中間流通業者の目線を意識した製品開発に注力する傾向があり、実際に製品を使用するエンドユーザーの意向が反映されていないケースが何度となく散見された。昨年、弊社創立50周年記念事業の一環として事務所リニューアル工事を請け負っていただいたリフォーム工事会社の営業ご担当者様と先日交わした会話で、某・大手有名建材メーカーの1社については近年における営業スタイルについて大きく変化してきており、これまでは製品拡販効率の向上を目的に中間流通業者を中心としたPRを行なってきたが、ここ最近ではエンドユーザーに対する直接PRに舵を大きく切られたとのこと。また、エンドユーザーへのヒアリングした意見を製品開発へ反映させると共に、上記建材メーカーの製品が欲しいというエンドユーザーの声を直接中間流通業者へ向かわせるという、これまでとは全く真逆の新たな仕掛けづくりを行っている旨を教えていただいた。巷では顧客第一主義を掲げている企業は多いと認識するが、その一方でこれまで供給者の一方的な意向のみ反映された製品が多く流通していたのが実情ではなかったかと個人的に考える。現在、国内市場では成熟期を迎えている業界が多数に上ると推察されるが、常に消費者目線を心掛け、将来に向けた自社ならびに自社製品のファンづくりに取り組んでいる企業のみだけが生き残れるものと認識する。2.自社ホームページを営業力補完として有効活用近年、老若男女問わずスマートフォンを覗き込んでいる人々を至る所で散見するが、2018年5月28日付で博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が発表した「メディア定点調査2018」時系列分析2によると、東京地区におけるスマートフォン所有率が79.4%との結果報告がある。現代ネット社会を象徴するような結果であると思うと共に、今後の更なる高度情報化社会に対応すべく企業の顔というべき自社ホームページの内容拡充、定期的な更新は中小企業にとっては絶対条件と考える。なお、ホームページの維持管理には年を追う毎に費用が嵩むケースは少なくないが、費用以上の効果が得られると認識している。弊社ではここ2〜3年、非常に優秀な社員が続々と入社しているが、入社を決意した理由の1つとしてホームページであったとの回答を得ている。また、これまでのお問い合わせは自動車業界がメインであったが、ここ最近では異業種や海外からも増加傾向にある。1990年代後半に外交営業を廃止し、インターネットに特化した取引を開始されたネット証券のパイオニアである松井証券株式会社に代表されるようなインターネットビジネスの成功事例は枚挙に暇がないが、取り扱う製品やサービスによっては、ホームページ自体を営業力補完の有効なツールとして十分に代用出来るものと強く認識する。ちなみに、弊社では2014年10月に自社ホームページの全面リニューアルを実施したが、会社情報以外はホームページ全体が総合カタログの代用になるようなデザイン構成への変更を実施。また、業界特有の用語については可能な限り平易な言葉に改め、これまでの業界慣習では間違いなく非常識とされていた各製品の実物写真が掲載された「一品一葉」の製品紹介ページの新規開設、ならびに公開に踏み切った。全面リニューアル直後は大きな動きはなかったものの、年を追う毎にアクセス数が右肩上がりの状況で、今日では中小企業ホームページにおけるアクセス数の目安とされている平均100アクセス/日の結果を残している。また、これまでに「Amazon」、「Yahoo!」、「楽天市場」、工具通販「MonotaRo(モノタロウ)」などのインターネット通販サイトを展開する大手企業の本部より直接弊社への出展要請が続々寄せられている。業界商慣習を鑑みて何れの企業の要請も丁重にお断りをしている状況だが、各社が異口同音に「インターネッ2 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所(2018)「メディア定点調査2018」  https://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wpcontent/uploads/2018/05/HDYmpnews20180528.pdf

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