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60トピックス47とする、④加熱能力21GJ/h以上の規模とする。そして、2016年4月に「改正 熱供給事業法」が施行された後も、この要件は変更されることはなく継続している。これらの条件を満たし、熱供給事業として認められた事業者は2016年度末で75、稼働中の営業地域数で133である。熱供給事業便覧(平成29年度版)2より引用の販売熱量の内訳を表1に、営業地域数の変遷をグラフ化したものを図4に示す。表1 販売熱量の内訳図4 営業地域数の変遷 1970年代の黎明期の後、二度にわたるオイルショックで伸びが鈍化するが、その後、1980年代後半から1990年代にかけて、都市再開発とともに飛躍的に営業地域数が伸びた。また、コージェネレーション、高効率ヒートポンプ、未利用エネルギー等の導入により、省エネルギー性の向上が図られた。2005年頃に営業地域数のピークを迎え、現在漸減傾向にあるものの、スマートシティの動きや「改正 熱供給事業法」の下で熱料金の自由化、東日本大震災を契機とした自立分散型電源としてのコージェネレーションの導入等、熱供給事業を巡っては、新たな時代を迎えている3。4.商いと熱供給事業(1)熱供給料金の構成と熱供給事業 熱供給料金は、一般的に基本料金(固定費)及び従量料金(変動費)から成り立つ。単純に、地域冷暖房方式の熱料金(基本料金と従量料金の合計)と、個別建物熱源方式の燃料費・電力費・水道費(地域冷暖房方式の従量料金)を比較すれば、個別方式の方が安価と考えられる。しかしながら、基本料金に含まれる、熱源設備工事費の減価償却費・租税課金、プラント賃料、運転員人件費、修繕費、支払利息等(個別建物の賃料や共益費に相当)は、地域冷暖房方式の集約メリットにより、かなり安価になる。ただし、地域冷暖房の場合、熱供給会社の設立による人件費・諸費用や導管敷設の減価償却費・租税課金による増分があり、一方で需要家側は、不要となる機械室の面積有効利用や、地域冷暖房の導入による不動産価値の向上のメリットを享受できるので、単純には「売り手よし」あるいは「買い手よし」とは言いがたく、個別に精査する必要がある。「売り手」の経営が厳しくなれば熱供給事業の継続が難しくなり、熱供給を受けられなくなる「買い手」が一番困ることになる。逆に、「売り手」の事業収支が長期間にわたって良好であれば、「買い手」から還元の要求が出るかもしれない。長い目で見てバランスのとれた、そして、変動要素の大きな燃料費・電力費に対しては、柔軟な熱料金システムとすることが求められる。(2)仮想「国府台熱供給」の検討 本学は近隣の教育機関及び医療機関と「国府台コンソーシアム」として相互連携を図っている。そこで、本学、和洋女子大学、国府台病院、東京医科歯科大学教養部に熱供給することを前提に、「国府台熱供給」を設立することを仮想する。病院への蒸気供給を考慮し、冷水及び蒸気を供給、プラントは本学に設置できると仮定する(図5)。図5 仮想国府台熱供給

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