view&vision47
71/84

69471.はじめに 私は2017年8月から2018年3月まで台湾の輔仁大學(Fu Jen Catholic University)の社會科學院訪問研究員・特別講師として、台北市に居住した。輔仁大學は、1925年に中国本土で設立され、台湾では1961年に創設されたカトリックの私立大学である(写真1)。輔仁大學は現在、11学部(文学部、芸術学部、医学部、コミュニケーション学部、教育学部、理工学部、外国語学部、民生学部、法律学部、管理学部、社会科学部)、修士課程(42コース)、博士課程(11コース)、夜間部(14学科)などから構成され、学生数は2万人を超える台湾では規模の大きい大学である。キャンパスは、台湾の首都である台北の中心から、およそ10キロの位置に立地している。大学へのアクセスは、地下鉄が最も便利であり、中和新荘線の輔大駅(Fu Jen University Station)から徒歩数分でキャンパスに入ることができる。写真1 輔仁大學の正門 私は経営学、中でもマーケティングや消費者行動を専門としている。この分野の研究者は、一般的に欧米の英語圏の国を在外研究先に選ぶことが多い。私が同じ東アジアの台湾を選んだのは、第一に私が研究対象としている組織と現象が台湾で台頭しつつある、第二にインタビュー調査を実施し、日本との比較研究を行いたいという理由があった。 台湾滞在中は、研究者としてだけでなく、教育者として講義やゼミなどで台湾の学生を指導し、さらに学生として中国語を一から勉強するために語学学校に入学した。写真2にあるように、台湾滞在中は客員教授用の研究室を用意してもらっただけでなく、ネットワークアクセス権やソフトウェアの使用、図書館利用など、まるで本務校にいるかのように配慮していただいたことに大変感謝したい。写真2 研究室の前で共同研究者の呉宗昇副教授(中央)と    王驥懋助理教授(左)とともに台湾・輔仁大學滞在記千葉商科大学商経学部 教授大平 修司OHIRA Shujiプロフィール博士(商学、一橋大学)。諏訪東京理科大学経営情報学部助手・助教、千葉商科大学商経学部専任講師・准教授を経て、2018年より現職。専門はマーケティング、消費者行動論。主な著書に『消費者と社会的課題:ソーシャル・コンシューマーとしての社会的責任』(千倉書房、2019年)がある。

元のページ  ../index.html#71

このブックを見る