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7147 王助理教授とは、有機食品に関する話だけではなく、イギリスで博士号を取得している経験から、非ネイティブスピーカーの英語勉強方法、社会学の理論や調査方法、英語雑誌への投稿など、多岐に渡る話をした。彼との話は、研究者として、自分を成長させる有意義な時間となった。 呉副教授の大学院のゼミ生の中に、倫理的消費を実践している学生が在籍していた。彼女に話を聞くと、彼女の子どもが現在、幼稚園に行っており、いわゆるママ友たちも倫理的消費を実践していることを聞き、インタビュー調査を依頼したところ、快諾してもらえた(写真5)。インタビューをして大変興味深かったのが、インタビューを実施した5名のうち、ほとんどの人が、やましたひでこ氏が2009年に出版した『断捨離』に影響を受けていた点である。この書籍は2011年に中国語に翻訳され、台湾でもブームを起こしていた。彼女たちは、それらを読んでシンプルな生活をし始めたのがきっかけとなって、倫理的消費をするようになったと述べていた。この結果については、2018年11月に日本でもシンプルな生活をする消費者にインタビュー調査を実施している。それらの成果は、今後、学会報告や論文の形で発表する予定である。写真5 台湾の倫理的消費者たちと3.教育者として 呉副教授から講義をしてみないかと言われ、滞在期間中、輔仁大學社會科學院の特別講師も務めることになった。講義は主に大学院の講義とゼミのゲストスピーカーとして講義を行った(写真6)。写真6 呉副教授との講義中のやりとり 講義はパワーポイントのスライドを含めて英語で行なった。初めて行なった講義では、幸いにも50名以上の学生が参加し、立ち見が出るほどであった。台湾の大学及び大学院は、講義は1コマ50分であり、大半の講義は2コマ、もしくは3コマで構成されている。初めての講義では、呉副教授に時間配分は好きなようにやっても構わないと言われたことから、70分くらい講義をして、少し休憩を挟み、30分くらい質疑応答の時間とした。質疑応答は、英語が話せる学生は英語で質問をしてもらい、私も英語で返答した。中国語で質問する学生は、通訳を介して日本語にしてもらい、私も日本語で返答し、通訳してもらうという形で行なった。 日本の大学では、90分間の講義が一般的であるが、台湾で50分を2コマという時間配分で講義を行うのは個人的には非常にやりやすいと感じた。その理由として、第一に日本では当たり前だったので感じなかったが、90分間講義をする方と聞く方、ともに長時間の集中力を保ち続けるのが難しいのではないかと思った。第二に特にビジネス分野の講義であれば、最初の時間で理論の講義をして、その後にケーススタディなどを行うといった講義の構成が可能になると考えることができた。90分でもこのような講義を行うことは可能であろうが、90分の講義となると途中で休憩時間を入れた場合、例えば学生が教室外で声を出して話したりすることが想定され、他の講義への迷惑が考えられ、実践するのをためらってしまう。現在のビジネス教育では、ケーススタディは不可欠なものとなっている。1回の講義が2コマから構成されるのは、そういった教育を行う上では有効であると考える。 輔仁大學では、日本でいう大学院ゼミでも講義を行った。呉副教授は数名の大学院生の指導をしている。呉副

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