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7247教授は、私の滞在中にドイツの大学院の修士課程に所属し、アジアの社会的企業を調査している韓国人の大学院生を受け入れていた。彼女は社会学を専門とし、韓国と台湾の社会的企業の比較研究を修士論文のテーマとしていた1。彼女は私の講義を聞いて、個人的に経営学やマーケティングなどの視点からの日本の社会的企業の話を聞きたいと連絡があり、私の研究室やランチを食べながらなど、様々な研究の話をした。特に彼女は私がマーケティングを専門としていることから、社会的企業は製品やサービスが消費者に売れないと社会的課題が解決できなくなることから、消費者のことを考える必要があると指摘したことを新鮮に感じたらしく、どういった論文を読めばよいのかなどのアドバイスを求められた。4.学生として せっかく英語圏以外の国へ滞在していることから、これまで一度も勉強をしたことがなかった中国語を一から勉強しようと考えた。輔仁大學には、華語文中心(Center for Chinese Language and Culture)という語学学校が併設されている。ちょうど滞在期間中の12月から2月にウィンタークラスが開講することを知り、入学を決意した。 華語文中心は、1964年に布教活動に従事する神父や修道士に中国語を教える目的で設立され、毎学期約200名の学生が在籍している2。クラスでは、少人数制を徹底していて、一クラスの人数は最大でも7人に設定されている。授業では、『新版實用視聽華語』という300ページを超えるテキストを3ヶ月で終え、最終テストをパスすることでコース終了証がもらえる。テキストは、英語で中国語の解説が書かれており、講師の先生も初級クラスでは英語を使って、中国語の指導を行う。クラスは、初級、中級、高級クラスがあり、各級はレベル1〜3から構成されている。私の場合は、授業が始まる前にセンター長の先生から中国語のレベルチェックを受けたが、当然、初級の1レベルからの受講となった。 講義は、基本的には月曜日から金曜日まで一日3時間となっている。費用は、4人から7人のクラスが日本円でおよそ10万円となっている。輔仁大學は、語学留学生のための宿舎を設けており、4人部屋を3ヶ月使用する費用は、3万円(日本円)となっている。大半の学生が、このような宿舎に入っている。 私が受講したクラスは、私を含め、7名のクラスであった(写真7)。クラスメイトは、大体が20代前半から半ばであり、ロシア人と韓国人、インドネシア人(2名)、コロンビア人、ポルトガル人の国際色豊かなクラスであった。私は日本人であることから漢字の名前があり、中国語名をつける必要がなかったが、アルファベット圏の国の学生は、皆中国語の漢字名をつけて、その名前で授業に参加していた。写真7 先生とクラスメイト 授業は、男性と女性の先生が交代で講義を担当した(写真7の真ん中の女性が張婷婷老師)。講義が始まって1ヶ月後の1月から一週間に小テストが2回実施された。恥ずかしながら、全くの中国語初学者は私だけであり、講義が始まった当初は、クラスメイトからは全く中国語を知らない「おじさん」という意味も含めて多少からかわれたりしながら、発音を助けてもらったりした。特にペーパーテストは、ほぼ20年以上ぶりであり、自分の人生でもう二度とないペーパーテストだと思い、昔を思い出し、少しでも良い点を取ろうと必死になることができた。その結果、ほとんどの小テストで高得点を取ることができた。 その理由として、第一に小中学校時代に毎日と言って良いほど、漢字の書き取りの宿題をしていたことがある。アルファベット圏の人間にとって、漢字は「絵」と同じであると何人かのクラスメイトが言っていた。またクラスメイトから、私が書き順を含めて、なぜ漢字をそんなに覚えているのかと質問された。なぜなら、講義が始まった当初は発音もままならない私がスラスラと漢字を書いていることも彼らには不思議に思えたと言っていた。彼らに日本人は小学生の宿題の定番が漢字練習であり、毎日100文字近くの漢字の練習をしていることを話すと、大変驚いていた。1 彼女は英語だけでなく、中国語もネイティブレベルに堪能であったことから、台湾の社会的企業を調査することにしたという。2 開講時期は、スプリングクラス(3〜5月)、サマークラス(6〜8月)、オータムクラス(9〜11月)、ウィンタークラス(12〜2月)の年4回である。

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