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7347 第二に中国語の文章の作り方が英語と同じだった点がある。中国語も英語と同様に主語の後に動詞を置いて、その後に目的語を置くという形で文章を作る。主語をよく省略し、最後に動詞を配置する日本語しか知らずに中国語を学ぶと、日本人は英語と同様に単語の配置で非常に苦労すると思われる。しかし、たまたま英語で中国語を学んだ私にとって、英語と中国語は文の構造がそっくりなので、それが私の理解度を高めたと考えられる。この経験を通じて、台湾人が英語を話せる人が多い理由として、文の構造が似ている点も大きな影響を与えていると感じた。5.おわりに 最後に生活面から、台湾の消費に日本企業がいかに関わっているか、またその現状について述べたいと思う。前提として、日本と台湾の政治システムは異なっている。台湾の政治制度は、アメリカと同様に大統領制を採用しており、救急車やパトカーなどのデザインもアメリカのそれらを彷彿されるものとなっている。その一方、普段の生活をするとなると、日本企業の製品やサービスを抜きに語ることができない。台湾の街に一歩出ると「日式」という文字を多く目にする。これは「日本式」を意味しており、日式鍋や日式弁当など、「日本風」だというだけで価格が割高になることもあり、飲食品店だけでなく、それ以外のお店も「日式」を掲げてビジネスを行なっている。 日本企業は、台湾人の「日本」というブランドに対するロイヤルティの高さを利用し、高価格帯で製品を販売することが多く見受けられる。その例として、台湾に進出している日本企業として、日本では比較的手頃な価格帯の定食を提供している「やよい軒」がある。台湾では、やよい軒は価格の高い日本料理のお店としてポジショニングしている(台湾に18店舗)。具体的に「鯖の塩焼き定食」の価格を比較すると、日本では630円、台湾では290台湾元であり、日本円にすると、1,015円(台湾元×3.5)となる。このような台湾国内と海外である日本との内外価格差を考えると、日本企業が台湾でビジネスを展開する利点を容易に理解することができる。 これは食品企業だけでなく、ユニクロ(台湾に65店舗)ではメンズの「EZYジーズ」が日本で3,990円、台湾では日本円で5,125円(1,490台湾元×3.5)、MUJI(台湾に45店舗)では「首のチクチクをおさえた洗えるタートルネック紳士」が日本では3,990円、台湾では日本円で4,865円(1,390台湾元×3.5)ともに千円近くの価格差がある3。写真8は台湾でカルビー「ポテトチップスのりしお」がスーパーマーケットで陳列されている写真である。「139」という価格は、日本円ではなく、台湾元での価格(実質487円)であり、私は価格を一目見たとき、日本円で売られているのかと勘違いしたほどである。実際、西友のネットスーパーで価格を確認したところ、台湾より30g少ない、170gのポテトチップスのりしおは178円であった。写真8 家樂福(Carrfour)でのポテトチップスの陳列 台湾の家樂福(Carrfour)に行くと、常に日本の食品のみを扱ったコーナーが設けられており、食品だけでなく、日用雑貨などの棚にも多くの日本企業の製品が、ほぼ日本円と勘違いしてしまう価格で販売されている4。日本企業の製品が多く陳列される理由は、当然のことであるが、それらが売れるからであり、台湾人は日本の製品に対して価値を見出し(country of origin)、割高でもためらわずに対価を支払っている。その一方、台湾人は日本人よりも収入があるから、そういった消費が可能だとも考えることができる。しかし、2017年の台湾人と日本人の平均月収を比較すると、台湾は125,951円(3万5,986元×3.5)5、日本は351,111円6と日本人の方が倍以上の収入を得ている。そのような経済データを含めた台湾と日本の違いを示したのが、図表である。実質GDP成長率を除いて、全て日本が台湾を上回っている。台湾や中国の人が日本に来て、いわゆる「爆買い」をする理由の一つとして、自国で買うより価格が大幅に安いことから、「ま3 これら企業の製品は、日本で生産されたわけでなく、中国や東南アジアなどで生産されており、物流する距離は日本より近い。4 台湾での日本企業の製品には、現地生産されている製品もあり、これらの価格は台湾企業の製品と比べると、多少割高で販売されている。5 行政院主計総処が2017年発表したデータによる。6 国税庁「民間給与実態統計調査」では、年収のみが示されている。2017年は平均年収は4,216,000円であり、台湾とのデータと合わせるために、この値を12で割ったものを使用した。

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