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747特 集SDGS最前線また、ESGについても、7つの中核主題の真ん中に「G」があり、環境の「E」があり、残りが「S」と整理することができる。現在「S」の部分がかなり混乱し、論者によって随分異なっている。そこで、世界標準のISO26000にもう一度立ち戻って、ここに示されている項目を参照すれば、世界合意のある整理になりうると考える(図表2の右図)。なぜ今SDGsか 持続可能性新時代の共通言語4⑴SDGsとは何かISO26000やCSVを深めるうえでも役立ち、変化の激しい国際情勢の中で企業の中長期的な成長戦略を描くうえで国際的な共通言語があると心強い。それがSDGsである。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ 我々の世界を変革する 」に記載された30年までの国際目標である。その特色は、地球上の誰一人として取り残さないとの誓いのもとで、途上国、先進国を問わず取り組み、政府等のみならず企業の役割も重視している。ユニバーサル(普遍的)なもので、持続可能な社会づくりのための「共通言語」といえる。SDGsは、深刻化する現下の地球規模課題の分析を踏まえ、持続可能な世界を実現するための17の目標と169のターゲット、230の指標という広範な施策から構成され、17目標は図のように分かりやすいピクトグラム(絵文字)で表現されている(図表3)。「持続可能性」という概念は、1987年の国連「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が公表した報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」で提起された。同報告書では、「持続可能な開発」を「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」と定義している。その後、21世紀に入り経済・環境・社会の「トリプルボトムライン」の重視が定着し、2010年のISO26000による「社会的責任の手引」の発行と、次々に社会・環境の持続可能性への関係者の役割に対する要請が高まってきた。そして、2015年に2001年から2015年までのミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)の後継としてSDGsがまとめられた。SDGsはMDGsと次の相違点がある。①途上国の開発問題が中心で、先進国はそれを援助する側という位置付けであったMDGsに対し、SDGsは開発側面だけでなく経済・社会・環境の3側面すべてに対応し、先進国にも共通の課題として設定。②目標も8から17に増えて包括的。③SDGsは課題解決のための企業の創造性とイノベーションを期待し、企業の役割を重視。図表3 SDGsの概要(外務省資料による)

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