cuc_V&V_第52号
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10ションを使うことで今後実際似たようなケースに出くわすかも知れず役に立ちました」、「可能性としてはどの企業でも起こりうる事件なためとても参考になりました」、「自分が会社に就職した際に、講義で出た倫理的課題のある問題に直面するケースが大いにあると感じ」たという回答があり、ある程度伝わったと思われる。二つ目のねらいである「拙速な判断をせず状況を冷静に見極めて熟慮することができる」ようになることについては、「目の前のことをすぐ飲み込まずに疑いの目でみて自分の中で砕いてから取り込むようになった」、「物事の考え方を少し違った目線で考えてみようと思った。今の状況を冷静に判断」する、とか「ニュースにでていることだけでなくある程度調べたうえで判断した方がいいと聞き、普段でも噂だけではなくしっかり話を聞き正しいことだと思ったものだけを友達に伝えるようにしています」と書いた学生がいた。「倫理的課題を見つけてステークホルダーにはどのような影響が出るのか、自分が当事者だったらどうするか、と順を追った考察を毎回していたので、普段見るニュースで不正や告発以外のことでも順を追って内容を把握しようと思うことが無意識にありました」と、冷静に分析する習慣がついたとするコメントもあった。三つ目の「人々は多様な考えを持っており自分の考えだけが絶対的に正しいわけではない」ということに関しては「物事について一つの視点の考えだけではなく幅広い視点で多くの考え方をだし選択できるようになりました」、「今までとは違う判断(選択肢)を考えるようになった」、「ほかの方の意見が聞けるのもとてもよかった」と答え、「様々な事例を通して実際に考えること、他の人の考えを聞くことで自身の能力が向上したと感じている」学生がうまれるなどの効果が見られた。最終的な目標である「知識習得だけでなく、実際に仕事をするうえで倫理的意思決定を行い、最適と判断したことを行動できるようになる」ことについては、直接の効果は把握できない。しかし、「バイト中やお店を利用する時に学んだことを意識するようになった」り、「自分が選択した考え方や行動によって生じる結果を前もって考えるようになった」りと、すでに行動する際に意識している学生もいることから、就職後もその意識が継続することを期待したい。まとめ5「商業と倫理」の授業では学生たちが倫理的意思決定を行い、最適と判断したことを行動できるように実践的な内容となるよう努めている。しかし就業経験が少ない学生に実際の職場での行動を想像させることは容易ではないため、擬似体験させるために事例を多用して、それらの事例の中の登場人物になりきって考えるように促している。真剣に検討してもらうために、倫理的課題は自分の身に起こりうることを認識させ、課題に遭遇したら冷静に多角的に検討する習慣をつけさせ、人々は多様な考えを持っていることを前提に意思決定できるようになることをねらいとして授業を進めることで、一定割合の学生には影響を与えることができた。学生の要望として、動画の使用を増やして欲しい、グループでブレインストーミングする時間を入れて欲しいなどの意見があり、今以上に学生の体験を増やす工夫に努めたい。受講した学生たちが将来就職して、倫理的な意思決定を実践し、幸せな人生が送れることを祈る。52特 集CUCの倫理教育

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