cuc_V&V_第52号
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1452講義における「環境」の定義3本講義では「外部不経済による自然環境及び生活環境への影響」と「環境」を定義した。これによって、気候変動や生物多様性など一般的な環境問題を主題としつつ、新たな環境問題や講義で取り上げない環境問題についても、受講生が判断できるようにした。同時に、講義で取り上げる内容について、射程を広くすることができ、環境学の入門としての役割も持たせることにした。定義に際しては、環境学の知見を踏まえている。環境問題は、常に経済との関係で難しい判断を迫られてきており、そのことを理解することが重要となる。講義においても、受講生にそれを問いかけることを基本とした。講義の基本構成4遠隔講義の方式は、音声ファイルと講義資料の配布を基本とした。本学からの情報提供によると、学生の6人に1人が十分な遠隔受講の環境を有していなかった。筆者の担当する講義は、いずれも全学年が受講し、当該学問の基本であったことから、大学のポータルサイトにアクセスできれば受講できるようにした。そのため、事前に録音した講義の音声ファイルを汎用性の高いMP3に劣化させて変換し、それに合わせた講義資料をPDFにて配布した。音声による講義時間は30~40分とした。1講義当たりのファイルサイズが、30分のMP3の64kbpsで、本学から要請された1講義当たりのファイルサイズ上限に達してしまうからである。また、対面講義では講義中に様々な問いを発して、受講生に議論してもらってから発言してもらっているが、その時間を省いて説明だけに専念すれば、1講義の内容を30~40分に詰め込むことが可能と分かった。詳細の口頭説明は省かざるを得ないが、それらは講義資料に盛り込んだ。一方、音声ファイルと講義資料による座学だけでは、受講生が講義内容をしっかり理解できるとは限らない。通常の対面講義では、受講生への問いかけ、思考・議論、発言(他者の考えを知る)、動画や写真、受講生の理解具合を見ながらの補足説明等を、座学とプロジェクタでの資料投影に組み合わせている。必要に応じて、反復も行う。これらを総合することで、受講生の理解を深めている。そこで、受講生が講義内で行うことをモジュール化し、講義時間の105分をそれらの組み合わせで構成することとした。具体的には次のとおりである。① 音声ファイルと講義資料による座学(30~40分)② クリッカーワークによる思考・発言(20~30分)③ 動画視聴(15分)④ 課題図書の要約作業(30分)クリッカーワークとは、ポータルサイトの機能を用いた設問への回答である。複数の選択肢を提示し、選択の理由を140字以内(ツイッターと同じ)で書いてもらう。受講生は、選択の割合と他者の理由を見られるため、思考と発言をするのとほぼ同じとなる。また、これを出席のチェックとして用いた。動画視聴とは、講義内容に関連するインターネット上の動画を見ることである。動画はいずれもNHKが一般に公開している「NHK for School」のサイトを指定した。動画は中学・高校生向けで、大学生にとっては平易であるが、現場や過去の動画が豊富で分かりやすいため、座学の理解を定着させる反復として用いた。なお、出席チェックを兼ねたクリッカーワークの後としているのは、少数ではあっても動画を視聴できない受講生の存在を考慮したためである。課題図書の要約作業とは、教科書並びに指定の図書を要約し、ポータルサイトを通じて期限までに課題を提出することである。自らの感想や意見を交えず、1,000~1,600字以内で本の内容を要約する。1冊につき3時間かかるとして、前半課題と後半課題を設定した。この経験を踏まえ、2021年度に改善した点は、大きく2つである。第一は座学の方式で、動画ファイルを作成してそれを主とし、動画を視聴できない受講生のために、音声ファイルと講義資料を補助資料とした。動画ファイルと同時に音声ファイルを作成できるため、二度手間とはならない。一部の受講生から動画での説明を求められたことに加え、ファイルサイズの問題を解決できたため、動画ファイルを導入した。動画ファイルはドロップボックス上に置き、受講生はそこにアクセスする。第二は課題図書の要約で、2冊を特 集CUCの倫理教育

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