cuc_V&V_第52号
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1952課題図書の要約作業7課題図書の要約作業は、講義内の反復、記事等の読解、動画等の視聴、補足説明を補うために設けた。対面であれば、動画や写真、記事その他、様々な教材を用いやすいが、遠隔であれば、それらの教材を用いるのは容易でない。そこで、講義に関連する平易な良書を通読してもらい、それを要約としてまとめる作業を課した。学期前半の課題は、教科書の要約である。教科書は、小西雅子『地球温暖化は解決できるのか―パリ協定から未来へ!』岩波ジュニア新書を指定し、1,000字以上1,600字以内での要約とした。「本を読んでいない人が、要約を読んで、内容を的確に理解できるように書くこと」と指示し、提出されたすべての課題に対する個別コメントと、授業資料を通じた全体講評でフィードバックした。学期後半の課題は、指定した3冊から1冊を選び、要約することとした。課題図書は、原科幸彦『環境アセスメントとは何か―対応から戦略へ』岩波新書、仲村和代・藤田さつき『大量廃棄社会―アパレルとコンビニの不都合な真実』光文社新書、政野淳子『四大公害病―水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害』中公新書の3冊とした。その他は、前半課題と同じである。最終講義内のレポート8試験の代わりに第13回の最終講義において、講義内に作成・提出するレポートを課し、単位の必須要件とした。レポートの課題は、シラバスと第1回講義のガイダンスで明示した上で、第11回講義でも繰り返し説明し、受講生が事前に準備できるようにした。課題は「【環境問題を解決するために、自らがこれから新たに行動すること】について、どのような環境問題を解決するのかと、行動の理由を必ず含め」て述べてもらった。本文で1,000字以上1,600字以内(注・参考文献は別)とし、ポータルサイトを通じての提出とした。評価ポイントは、課題に忠実に回答しているか、論理的に回答しているかとした。「どのような環境問題を解決するのか」としており、漠然と「環境問題」を示している場合は減点とした。また「自らがこれから新たに行動すること」としており、他者が何かをすべきなどと、自分を除外して論じている場合を減点とした。「行動の理由」を示していない場合も、減点とした。これも要約作業と同じく、提出されたすべての課題に対する個別コメントと、授業資料を通じた全体講評でフィードバックした。狙いは、自らが環境問題と考える事象に対し、自らで論理構築して、行動を促すことにある。教員が「正しい答え・言動」を提示し、それを求めるのでなく、講義を通じて得た知見と考えたことを集大成し、自ら考え、行動することを求めた。また、情緒的に判断するのでなく、論理的に判断することを求めた。受講生の反応9最終講義にて受講生にアンケートを取ったところ、約8割の受講生が「しっかりと腑に落ちて理解できた」と答えた。具体的には145名中108名が回答し、「しっかりと腑に落ちて理解できた」84名、「おおむね理解できたが、多少の疑問が残る」13名、「半分くらいは理解できたが、説明に難しい点もあった」7名、「説明が難しく、ほとんど理解できなかった」1名、「音声ファイルはほとんど聞かず、クリッカーワークだけやった」0名であった。以下は、アンケートにおける受講生のコメントの例である。• 講義を受ける前と比べ、日本の環境の状況をしっかり理解することができた。今まで日本の環境問題のことをほとんど考えてこなかった。しかし最近は日本の環境を考え節電したり、ゴミをなるべく出さないようにリサイクルしたりしている。これからもしっかり続けていきたい。• 多角的な視点が必要だと実感した。例えば、ダムの建設は観光が発展するものだと考えていたが、その後の維持や環境破壊に繋がることは知らなかったので衝撃を受けた。経済の発展と環境の維持を両立するために色々なものに疑問を持ちもう一度調べ直すべきだと学んだ。特 集CUCの倫理教育

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